アメリカ大豆協会

家畜栄養と飼料
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米国産脱皮大豆ミールのブロイラー、産卵鶏および種鶏に対する経済的利点

ホエイラ・シェン博士
アメリカ大豆協会技術コンサルタント
ステップアップ養豚・養鶏セミナー2002 2002/06/18

緒言

中国では、数年前にAmerican Soybean Associationによって紹介されるまでDHSBMは知られていなかった。基本的に脱皮大豆ミール(DHSBM)は普通の大豆ミールであるが、かなりの部分の外皮を除去してある。したがって、通常の大豆ミール(RSBM)と比べてタンパク質、アミノ酸およびME値が高い。購入担当者の多くはタンパク質単位あたりの価格にもとづいてタンパク質成分だけに値段をつけ、アミノ酸およびME値の高さについては考慮していない。このため、「全体の価値の半分」だけで購入を決めている。

数100例の検体を用いた大手多国籍企業の栄養分析から、DHSBMとRSBMの差が明らかとなっている(表1)。たとえば、DHSBMの粗タンパク質含量は46.5〜48.5%であり、タンパク質含量に基づいて価格を決定すれば、DHSBMは通常の大豆ミールと比べて6〜10%価値が高い (中国産RSBMの大部分のタンパク質含量は42〜44%である)。しかし、DHSBMのkgあたりのMEは2,440kcalであり、RSBMの2,230kclと比べて9.4%高い(NRC,1994)。さらに、DHSBMは高濃度の可消化アミノ酸を含んでいる (表 2)。タンパク質およびアミノ酸含量が高いほど、飼料に必要な大豆ミール量を減らすことができる。こうしてできた「飼料のフリースペース」には、トウモロコシなど、他のより安価な構成成分を利用することができ、その結果、よりエネルギーの高い飼料を生産するのに有効である。DHSBMのこのような利点はしばしば見過ごされるが、DHSBMの真の価値を決定する上で大きな特徴となる可能性がある。

養鶏家はしばしば飼料効率を経済効率の尺度と考える。タンパク質成分のエネルギー含量の価値を考慮したり、これらの成分が最終飼料価格へどの程度影響するかについて思いが及ばないこともよくあることである。実際、生産物kgあたりの飼料コストは、メーカーの競争にとってもっとも重要なパラメータである。表3は、同量の飼料100kgを給与した場合、DHSBMによって飼料中ME値を実際に増大できることを示している。このことは、他の家畜以上に家禽にとって重要である。特に中国においては飼料級脂肪および油の不足から、エネルギーが飼料中でもっとも高価な栄養素であることはよく知られている。

ASA Chinaは、自社コマーシャル農場において給与試験の実施に力を入れた研究を行っており、家禽飼料へのDHSBMの使用による栄養的価値および経済的利点を明らかにしている。これらの試験成績を以下に簡単にまとめる。全試験に共通する項目は以下の通りであった。
  • 試験は全てコマーシャル農場で実施した。対照飼料は通常の農場飼料とした。試験飼料群の全ての鶏には当社の方法に従ってRSBMの代わりにU.S. DHSBMを給与した。
  • 試験で使用したDHSBMの大部分は中国で生産されたものであったが、使用した大豆は米国産である。
  • 飼料配合は、RSBMおよびDHSBMともに概算解析結果に基づく。大豆ミールのME値はどちらもNRC(1994)によるもので、DHSBM 2,440kcal/kg、RSBM 2,230 kcal/kgであった。
  • 各試験で使用したDHSBMは、その試験のRSBMタンパク質単位あたりの価格と同価格に設定した。
  • SASソフトウエア(SAS Institute, 1990)の一般線形モデル法を用いて全パラメータについて分散分析を行った。
コマーシャル産卵鶏飼料におけるDHSBMの利点

1999年、中国最大のコマーシャル産卵鶏経営私企業であるDalian Hanwei Layer Farmにおいて21週齢のコマーシャル産卵鶏(生産開始直後)28,000羽による産卵鶏給与試験を実施した。本試験では、各々14,000羽を収容する2鶏舎を対象とした。試験計画は3給与群、2鶏舎、3同居群とした。対照群は農場飼料、試験群1(DHSBM-1)は「DHSBMによる省スペース作用」によりエネルギー値が51kcal/kg高いことを除き、対照群と同じ栄養組成であった。試験群2(DHSBM-2)の飼料は対照群と比べてエネルギー値が78kcal/kg高かった。また、粗タンパク質が0.5%低く、それにしたがってアミノ酸も低くなっていた(表4)。本試験は、21週齢から45週齢まで168日間継続した。表5に成績を示す。


表5から、卵生産、卵重量および卵塊については、対照群と2つのDHSBM群間に有意差は認められなかったが、DHSBM-2給与群のデータは数値の上からはやや低値であった。両給与群におけるDHSBM給与雌鶏の飼料摂取量は3〜4.5g/羽/日少なかったが、いぜんとしてほぼ同じ卵生産を維持していた。これら2つのDHSBM給与群の飼料効率(FCR)は対照群と比べて3%および4%良好であった。


驚くべきことは、消費される1羽あたりの1日代謝エネルギーは3給与群でほぼ同じであることであった(表6)。おそらくこれが3給与群間で同等の卵生産を維持している主因と考えられた。しかし、対照群のタンパク質摂取量は明らかに非常に高かった (19g/日)。DHSBM-2群ではある種のアミノ酸摂取量が対照群およびDHSBM-1群と比べて低く、卵生産および卵質量の値が低い理由と考えられた。アミノ酸/Mkcalが同じになるように試験飼料が配合されていたならば、特にDHSBM-2、そしてDHSBM-1でもより効率が改善していたであろう。


DHSBM飼料価格は対照群飼料と比べて高かったが、卵1kgあたりのRSBM飼料コストよりもDHSBM 飼料コストの方が低かった(表7)。本試験期間中(168日)のDHSBM -1および-2各給与群における費用は、各々RMB0.043元 (US$ 0.005) および RMB0.195 元 (US$ 0.024)低減された。300万羽前後の農場では、DHSBMを飼料に添加すると、卵1kgあたりの費用を低減できる可能性が非常に高い。さらに、DHSBMを含有する高ME飼料は熱ストレス期に有用である。

産卵用種鶏飼料におけるDHSBMの利点

2000年、Beijing Huadu Layer Breeder Company において37週齢Hy-Lineブラウン雌種鶏14,400羽を対象として1同居群あたり産卵用種鶏1,800羽、2給与群(DHSBMおよびRSBM)、4同居群からなる産卵用種鶏給与試験を実施した。試験飼料は表8に示す。飼料中窒素量は同量であったが、エネルギー量は異なっていた。タンパク質およびアミノ酸要求量に合わせるため試験飼料には必要なDHSBMが少なかったので、トウモロコシ含有率が高かった。このためDHSBM飼料のエネルギー値は高くなった (50Kcal/kg)。しかし、2つの飼料中のリジン、メチオニンおよび含硫アミノ酸(メチオニン+シスチン)の代謝エネルギー/Mkcalは同レベルを維持した。

産卵、設定孵化率、破卵および淘汰は毎日記録し、飼料摂取量は毎週記録した。データは全て統計的解析を行った。産卵率および経済的成績を表9および表10に示す。

表9より、対照群と比べてDHSBM群の産卵数は1.49%多く(P<0.05)、設定孵化率は2.55%多く、飼料摂取量は1.76g/羽/FCRは0.14改善し(P< 0.05)、対照群に対するDHSBR群の相対的FCRは6%良好であった。さらにDHSBM給与群の雌種鶏では数値の上では破卵率は減少し、卵重は増加した。

経済的解析(表10)では、3ヶ月間の試験期間中のDHSBM群の利益は対照群と比べてRMB 0.016 元/羽/日 高かった。雌種鶏280,000羽前後のこの農場でDHSBMを使用すれば、RBM 163.5万元 (または $197,000)の削減が可能と考えられる。

ブロイラー飼料におけるDHSBMの利点

1999年、山東省の大規模ブロイラー一貫生産農場であるZhucheng Broiler Group Co. Ltd.において 1日齢Arbor Acres 2,400羽を対象としたブロイラー給与試験を実施した。本試験は、魚粉(FM)無添加DHSBM群、FM無添加RSBM群、FM添加RSBM群の3給与群であった。

FM添加RSBM給与は地域飼料であり、対照群として使用した。魚粉は中国産であり、スターター飼料には4%、肥育飼料には2%および肥育第2期飼料には1%添加したが、仕上げ飼料には無添加とした。DHSBM給与群はFM無添加とした。また、全ての飼料には全脂SBM4~6%、ピーナッツミール1%、コーングルテンミール1%および家禽副産物ミール1.5%が含まれる。DHSBMの栄養密度が高いことからフリースペースが生まれ、発育段階の4期全てにおいてDHSBM群のエネルギー量が高いことを除き、飼料は全て対照群と同じ栄養組成に配合した。1~21日齢では各給与群を各々3同居群とし、その後、各同居群を2分割し、22~55日齢は6同居群とした。

飼料給与、管理およびワクチン接種プログラムは、“Arbor Acres Feeding Management Guide”の推奨に従った。本試験で使用したSBMおよびDHSBMの分析データを表11に示す。このSBMバッチが米国から直接輸入されたものであることに注意すること。表12に4発育段階のブロイラー飼料コスト(元/T)をまとめる。魚粉が高価であり、使用した他の成分は栄養密度が低いため、4発育段階におけるDHSBM給与群の飼料給与費用は対照と比べて安価であった。

表13に以上の成績を示す。ブロイラー増体量については給与群間に有意差は認められなかった。しかし、数値の上からはDHSBM群が最高体重であり、FM無添加RSBMおよびFM添加RSBM群の体重は各々48gおよび11g低かった。枝肉重量は、FM添加RSBM給与群で有意に低く(P<0.05)、DHSBM群がもっとも重く、 FM無添加RSBMはその中間であった。3給与群間の飼料効率に有意差は認められなかったが、DHSBM群のFCRは改善する傾向が見られた。枝肉1kgあたりの飼養費用についてはDHSBM給与群に有意な利益が認められ(P<0.05)、低減された費用は1羽あたり 0.48元 (US$ 0.058)となった(54日齢枝肉重量を平均2kgとする)。FM無添加RSBM飼料の経済的成績はその中間であった。

2001年、Beijing Huadu Broiler Group Co.において1日齢ブロイラー28,000羽を用いた別の給与試験を実施した。この試験では、対照群として農場飼料、試験群としてDHSBM飼料を使用し、2給与群とした。給与群は1同居群あたり1,400羽、各々10同居群とした。飼料中のエネルギー、窒素、およびアミノ酸は全て等しかった。

表14に3発育段階における飼料コストを示す。1kgあたりのDHSBM価格は1kgあたりのRSBM価格よりも高価であったが、DHSBMの栄養密度が高いことから、試験飼料の費用は対照群と比べて全て安価であった。

表15にHuaduブロイラー試験成績を示した。この試験では、DHSBM群の増体量およびFCRは全てRSBM群よりも優れていた。DHSBMを使用することによる49日齢までの飼料コストの低減は1羽あたり 0.158元 (US$ 0.019)であった。

ASA Chinaでは1997~1998年に山東省のコマーシャルブロイラー農場において3つの大規模給与試験を実施している。表16にこれら3試験成績の平均を示した。各試験におけるDHSBM給与群の増体量およびFCRはRSBM給与群と比べて常に良好とはかぎらなかったが、各試験におけるDHSBM群とRSBM群の飼料コスト/bおよび飼料コスト/増体量kgには有意差が認められた (P<0.05)。これらの試験より、RSBMをDHSBMと変更することによって51~56日齢までの飼料コストは1羽あたり0.29元 (US$ 0.035)低減できることが明らかであった。

要約

  1. DHSBMは、動物、特に家禽にとって優れたタンパク質源である。DHSBMは飼料の栄養密度を高めるのに有用であり、このことは家禽にとって非常に重要である。
  2. 家禽飼料へのDHSBMの使用は、生産物単位あたりの飼養費用の低減に有用である。この低減幅は、成分価格、特にRSBMとDHSBMの価格比によって異なる。一般にDHSBMの経済的な効果は魚粉の代替とした場合により顕著である。
  3. 全てのASA試験より、以下のことが明らかである。魚粉は家禽飼料には必要ではない。高品質のSBM、特にDHSBMによって完全に代替することができる。
  4. 高品質の大豆ミール(SBM):
    ウレアーゼ活性 0.2以下
    KOH タンパク質溶解率 73-85-87%, 上限90%(USミール), 粉砕装置の技術に依存する;
  5. U.S. DHSBMは一般に最高品質である。
参考文献
  • Bushman, D. H. and Huile Shen. 1998. The economic advantage of US dehulled soybean meal for broiler and duck. Reference Publication of American Soybean Association.
  • Pierre Dalibard. Present Trends in Broiler Nutrition. American Soybean Association broiler seminar in April, 1998.
  • S. Leeson and J.D. Summers. 1997 Commercial Poultry Nutrition (2d edition) University Books, Guelph, Ontario, Canada
  • NRC. 1994. Nutrition Requirements of Poultry (9th edition). National Academy Press, Washington, DC.
  • CFIA. 1996-2000 Tables of Feed Composition & Nutrition Value in China, Feed database in China. China Feed Industry Association, Beijing.
 
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