アメリカ大豆協会

家畜栄養と飼料
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養豚飼料において肉骨粉の代用品としての脱皮大豆ミールについて

ボブ・テーラー博士
サウスダコタ州立大学
ステップアップ養豚・養鶏セミナー2002 2002/06/21

牛海綿状脳症(狂牛病、BSE)を考慮しなければならないことにより、多くの国で肉骨粉(MBM)を家畜飼料に用いることが法的に不可能となってきた。MBMは質の高い蛋白質、リン、脂肪源として用いられてきたが、代替飼料として同質のものを探さねばならない。このペーパーはアメリカ産脱皮大豆ミール(USハイプロ大豆ミール)がMBMの代替として養豚飼料に用いることが出来ることを中心に記されている。

MBMの代替として効果的にするには、飼料原料は次の点を満たしていなければならない。
  • 豚にとってアミノ酸バランスが満たされるもの。
  • アミノ酸が消化吸収されなければならない。
  • 栄養素のばらつきが配達ごとに最小であるべき。
  • 高品質であること。
  • 有効リン量が適切であること。
  • サルモネラ菌あるいは他の病原菌汚染の無いこと。
  • 成長あるいは枝肉品質に影響を与えないこと。
  • 経済的であること。

表1にアジアで用いられている様々な蛋白飼料の粗蛋白質、アミノ酸量を記した。多くの飼料原料の粗蛋白質量は高いが、豚、鶏は粗蛋白質を要求するのではなく、彼らは適切な比率の有効アミノ酸を要求する。粗蛋白質は高くともリジンの低い飼料原料もあり(ピーナッツ油粕)、成績に影響を与えるであろう。豚において最も重要なアミノ酸は、穀物飼料を基本とする場合はリジンである。それゆえ、飼料配合設計者は粗蛋白質の表を無視し、リジンの量とアミノ酸のバランスに集中すべきである。豚の為に成し遂げられる最も優れた方法は、総蛋白質中のリジンの量を割合でみることである。一般的には、蛋白質中のリジン割合が高ければ、豚にとってアミノ酸バランスが取れていると言える。例をあげれば、ピーナッツ油粕はUS産脱皮大豆ミールに比べて粗蛋白質は高いが(48.9 vs 48.6%)、アミノ酸のバランスを見れば、US産脱皮大豆ミールはピーナッツ油粕の蛋白質中において2.2倍のリジン含有があり(2.86 vs 6.26%)、US産脱皮大豆ミールがピーナッツ油粕に比べて豚には素晴らしい飼料原料といえる。飼料原料の表の中で、魚粉のリジン割合が最高で(7.56%)、続いてUS産脱皮大豆ミール(6.26%)、菜種粕(カノーラ油粕)(5.42%)があり、その他の原料はかなり低くなる。同時にUS産脱皮大豆ミールにはメチオニン量も高いことを明記しなければならない。このことはより良い飼料原料ということが出来る。

これらのアミノ酸の比率が適切であることは重要であるが、これらのアミノ酸が豚にとって良いもので、有効であるかがもっと重要である。処理過程の違いや原料導入時の品質の差はアミノ酸有効率に大きな影響を与える。加熱不足は成長阻害因子が残り、過熱は蛋白質を変性させ、豚にとって有効とならなくなる。多くの場合、蛋白質原料はアミノ酸バランスが適切であるが、処理過程や他の要因によりこれらのアミノ酸は豚には有効とならないことがある。そして、成績や利益を損なうことがある。それゆえに、飼料配合設計者はアミノ酸のバランスを取るべきであり、総アミノ酸量を求めるべきではない。

表1.アジアで用いられている蛋白飼料原料の粗蛋白質と、アミノ酸量
飼料原料 粗蛋白質 リジン 蛋白中のリジン メチオニン
US産脱皮大豆ミール 48.6 3.04 6.26 0.69
綿実粕 41.0 1.60 3.90 0.60
ひまわり油粕 45.2 1.70 3.76 0.80
菜種粕(カノーラ油粕) 36.9 2.00 5.42 0.70
蒸留粕 27.1 0.70 2.58 0.50
ピーナッツ油粕 48.9 1.40 2.86 0.40
魚粉 62.2 4.70 7.56 1.70
亜麻仁油粕 21.0 0.73 3.48 0.41
やし油粕 17.5 0.72 4.11 0.30
ゴマ油粕 45.0 1.10 2.44 1.27
ルーピン粕 30.0 1.47 4.90 0.21

表2.アジアで用いられている蛋白飼料原料のリジン消化率と有効量
飼料原料 リジン リジン消化率 有効リジン
US産脱皮大豆ミール 3.04 86 2.61
綿実粕 1.60 82 1.31
ひまわり油粕 1.70 76 1.29
菜種粕(カノーラ油粕) 2.00 71 1.42
蒸留粕 0.70 47 0.33
ピーナッツ油粕 1.40 82 1.15
魚粉 4.70 91 4.28
亜麻仁油粕 0.73 50 0.37
やし油粕 0.72 59(家禽) 0.42
ゴマ油粕 1.10 72 0.79
ルーピン粕 1.47 66 0.97

表2ではリジンの消化率により蛋白質原料の有効リジンを計算してある。魚粉は最も有効リジン量が多く(4.28%)、US産脱皮大豆ミール(2.61%)、菜種粕(カノーラ油粕)(1.42%)が続いている。その他の蛋白質原料のリジン有効量は、US産脱皮大豆ミールの50%に満たない。

有効アミノ酸によるバランスをとるとき言えることは、潜在の能力を引き出すことに留まらず、糞尿へ窒素としての排泄が少なくなることである。この窒素排泄の減少は、環境への影響として臭いの減少となり、畜産業を営む上での重要な点となる。

表3.有効リジンの単位当たりの価格(2002年4月)
飼料原料 $/トン ¥/kg ¥/kg、有効リジン
US産脱皮大豆ミール $188 ¥27.16 ¥1,040
菜種粕(カノーラ油粕) $155 ¥22.39 ¥1,577
魚粉 $445 ¥64.28 ¥1,502

蛋白飼料を評価する上で、魚粉、US産脱皮大豆ミール、菜種粕(カノーラ油粕)を栄養面での上位3種として取り上げることが出来る。しかし、給餌は確実な栄養補給のみではなく、生産者が利益を得られるような経済的な面も考慮すべきである。表3は2002年4月22日現在での有効リジンのカ買うを比較したものである。(US$1.00=\131)

有効リジンの単位kg当たりの価格を見ると、US産脱皮大豆ミールは約34%魚粉と菜種油粕より安い。それゆえ、US産脱皮大豆ミールは栄養的に高品質で経済的であると結論付けられ、肉骨粉の代替飼料として養豚飼料に用いることが出来る。

大豆ミールは大豆油の副産物であるが、世界の大豆ミールにおいても大豆の品質、処理過程等による幅広い品質の差が見られる。基本的には全ての大豆ミールは「同じように作られていない」、そして、品質において大きな差が生じている。ひいては家畜の成績に大きな影響を及ぼしている。大豆ミールの溶解試験(0.2% KOH)を見ると、5カ国原産の大豆ミールでは大きな差があった。US産脱皮大豆ミールは最も高い(85.6%)溶解率を示し、ブラジル(83.6%)、中国(83.4%)、アルゼンチン(79.9%)そして最後にインド(76.3%)と続いた。蛋白溶解率が低いということは、蛋白質消化率が悪く、成績も悪くなると言うことである。蛋白質消化率が低いことはこれらの原料からの有効リジンが高価になるということも示している。

生産国による品質のばらつきのみならず、生産国内での品質のばらつきもある。製品のばらつきが高いということは、飼料会社にとって安定した品質の飼料生産を困難にさせている。飼料原料の品質に高いばらつきがあれば、飼料配合設計の段階で過少あるいは過剰配合という結果を招く。他の調査では、大豆ミールの粗蛋白質、リジン、繊維、灰分のばらつきを見た。アメリカ産の181サンプル、南アジア22サンプル、南アメリカ37サンプルを調べた。全ての調査項目の栄養素において、アメリカ産大豆ミールのばらつきは最小であった。そして結果的に配合するには最も簡単であるということが言える。コンピューター業界の格言を借りると、「Garbage in garbage out (ごみを入れてごみを出す)」。もし高品質の飼料を望むならば、US産脱皮大豆ミールのような高品質の原料を用いるべきである。その生産地、生産者が重要であると同時に、原料の単価のみがその蛋白飼料の価値を評価するものではない。多くのことに真実として言われることとして、あなたが支払った物を得ることになる。

他の栄養素を見るうえで、US産脱皮大豆ミールは最適な原料である。代謝エネルギーとして3250kcal/kgあり、上質の蛋白源でもある。大豆ミール内のリンの60から70%はフィチン態で有効ではないが、一般の飼料内にはフィターゼが用いられて来ている。目下アメリカにおいては、養豚飼料においてフィターゼ添加するほうが第2リンカルを用いるよりも安価である。そしてフィターゼ添加により穀類のリンも利用され、リンの排泄を抑えることが出来る。その結果として糞中のリン量が減少し、糞尿散布の必要面積が少なくなり、環境問題を維持することも可能である。

蛋白飼料原料の評価において、健康を脅かす病原菌がいないことも大事である。サルモネラ菌は最も注意すべき病原菌で、飼料配合設計担当者はこの菌に注意をすべきである。二つの違った研究で、サルモネラ菌が蛋白質飼料に存在することが報告されている。しかし大豆ミールは常に菌汚染が低い状態である。大豆ミール、綿実粕、菜種粕(カノーラ油粕)、やし油粕、ひまわり油粕、魚粉を蛋白質飼料として評価することで、消費者の食品安全点での問題が発生する。大豆ミールはこの点でサルモネラ菌と最小の結びつきであると言える原料である。そして生産者、消費者両方に最も問題を起こさない飼料原料といえる。

最後の蛋白飼料原料の判断基準は成長成績や枝肉特徴に悪影響を及ぼすことが無いことである。表4に示すように、US産脱皮大豆ミールはこれらの心配事を最小にしてくれる飼料原料であると言える。

まとめ

有効アミノ酸、そのバランス、リジンの単位当たりの価格、継続的な生産、品質、リンの濃度、サルモネラ菌汚染、不要要因を評価するとき、US産脱皮大豆ミールは、最も経済的な価格で最も質の高い原料を求める飼料会社にとっても、飼料配合設計担当者にとっても、養豚生産者にとっても選ばれる証拠がある。

表4.養豚飼料に用いる蛋白飼料原料の問題点
飼料原料 問題点
US産脱皮大豆ミール l適切な熱処理がなされていることlスターター飼料に利用するには制限
綿実粕 lゴシポール毒に注意 =肺炎に似た症状を呈す l低蛋白質品質
ひまわり油粕 蛋白質と繊維含量に幅があるl大豆ミールに比べ、リジン、エネルギーに制限がある
菜種粕(カノーラ油粕) lグルコシノレート、エルシン酸含量に注意 l嗜好性
ピーナッツ油粕 lアミノ酸バランスが悪い lアフラトキシン汚染の可能性
亜麻仁油粕 l低蛋白質品質と低リジン消化率(62%) lカビ汚染の発生率が高い l非澱粉性炭水化物が高く、消化率が低い
蒸留粕 l栄養素のばらつき l配合割合を30%以上になれば、軟脂になる
ゴマ油粕 lフィチン酸、シュウ酸塩 l軟脂
ルーピン粕 l殻にアルカロイド含有
やし油粕 l嗜好性が悪い lペレット品質を悪くする l低アミノ酸消化率
魚粉 l含硫アミノ酸、トリプトファン不足 l栄養含有量に大きな幅 l酸化と生合成アミン
 
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