アメリカ大豆協会

瀬良英介ニュースレター

瀬良英介の一般業界向け
飼料・畜産トピックス
2007年5月 (159)

SQT(エスキューティー)ASP(エーエスピー)とは?

米国大豆の生産者は海外との競争に対応するため、また、米国国内のコンシューマーなどからの関心や好みの変化に対応するためにより品質の高い大豆を生産することが求められています。米国の大豆生産農家(生産者)や種子育種会社と研究機関は市場が求める大豆組成分にチャレンジするための努力を傾注しています。大豆組成分のチャレンジとはより価値のある油分、例えば、低飽和脂肪酸含量や低リノレン酸含量を持つ大豆、アミノ酸組成が改善された大豆、リンの有効性を高めた大豆などを作出することです。全体的にみてもこれらの大豆は今までのものよりは健康によい面を持ち、また、環境にもより優しい面を持っています。

品質面の育種改良は市場で評価され報いられています。言い換えれば、市場は価値に値する代価を支払うという形で表すということです。然し、個々の農家(大豆生産者)、収穫した大豆をエレベーターに搬入したときに改善された特質である油分や蛋白質の数値が即エレベーターで分析確認され評価されなければ高い価格で買い取って貰えません。農家(大豆生産者)としてはエレベーターに大豆を搬入した時点で品質に見合う評価と相応の買い取り価格が実現しないのであれば、品質面で付加価値を付けた大豆をわざわざ選んで生産する動機付けにはなりません。

すでに以前にも紹介されているベター・ビーン・イニシアチブ(良い大豆を作ろうという合言葉)は米国ミズーリ州セントルイスのUSB(全米大豆生産者ボード)が1990年代半ばに始めた運動で、より品質の高い組成分をもった大豆品種を増やし、種子調達を安易にできるようにすることが目的でした。例えば、リノレン酸が3.5%以下という大豆油は、場合によっては部分的水素添加をした植物油と置き換えることができます。飽和脂肪酸の低い(50%)油分は最終製品の段階で飽和脂肪酸を減らした油脂ができます。このような目的の一面を持ったコマーシャル販売用の低リノレン酸大豆品種は2006年に完成しています。

前述のように要望の強い大豆の品質特質を正確に測定する必要が生じてきたので米国油化学会(AOCS)と全米大豆ボード(USB)が合同で形成したプログラムが大豆品質特質(SQT)標準分析プログラム(ASP)です。研究をベースにした分析ラボ、公的、及び、民間の育種関連団体や会社、そして米国農務省のラボが目的とするところは大豆の特質を同一標準の分析手法で測定することにあり、項目としては蛋白質と油分含量、及び、脂肪酸組成とアミノ酸組成などを含みます。二次的な目的としては、品質特質が改善された大豆品種を選ぶときに自信を持って選んでもらうことにあります。

現在、SQT(エスキューティー)ASP(エーエスピー)プログラムは水分、油分、粗蛋白質に加えアミノ酸組成の分析測定の信頼度を調べることにあります。 大豆産業全体のゴールとしては大豆品質特質を調べるときの手順や手法を標準化し統一化することによりそれぞれの分析結果を比較評価できるように均一化することにあります。

SQTプログラムはユーザーである種子会社、レフェリー・民間ラボ、エンドユーザー・ラボ、エレベーター、穀類取り扱い施設などからの要望で開発されてきたものです。このプログラムには熟練度やスタンダード手法を調べる試験が入っていますが、どちらも米国油化学会(AOCS)を通して行う参加型のプログラムです。

SQTが2006年に最初に手をつけたのが近赤外線分析器(NIR分析器)を大豆・大豆製品分析に使えるかどうかということでした。NIRは分析が易しく、且つ、測定が速いということです。結果は統計的に解析でき、NIR分析器を生産しているところが出しているカリブレーションに加えることができます。このことにより、分析者は他の参加者のデータを比較することが容易にできるようになり結果の信憑性を高めることができます。

2007年4月にSQTプログラムは丸大豆と大豆ミールに関してのNIR熟練度試験を無料で行います。三つの方法に参加することができます。 (1)NIR大豆と呼ばれていますが、必要な試験は水分、蛋白質、油分、酸性デタージェント繊維、中性デタージェント繊維です。(2)NIR大豆ミールと呼ばれていますが、必要な試験はNIR大豆と同じです。(3)ウエット・ケミストリー(注:従来から行っているが時間のかかるフラスコや試薬を使っての分析法)と呼ばれていますが、必要な試験は水分、蛋白質、油分、脂肪酸です。

これらの熟練度試験はNIR分析器を持っていて試験に参加を希望する施設、品質管理ラボ、NIR器具メーカー、政府関係のラボなどが参加手続きしてくれることを望んでいます。参加手続きをしてくれたところには400グラム検体を5検体、四半期ごとに受け取ることになります。報告は四半期ごとに国際的に認められている統計解析のガイドラインにしたがって作成されます。これについての詳細は、米国油化学会機関誌(Inform, AOCS, April 2007, Vol.18(4)209-296)が次のところに連絡を取るように指示しています:Amy Lopez, SQT Project Manager, P.O.Box 17190, Urbana, Illinois 61803-7190 USA; Tel +1-217-693-4836; Fax +1-217-693-4879; e-mail; amylo@aocs.org.

余談ですが、前述のような大豆や大豆ミール分析に関してのニーズは分析を信頼おけるレベルに標準化することにあります。特に、米国国内の諸々の分析ラボやエレベーターでの分析熟練度を上げ、分析値を評価できるようにするのには必要なことです。それには時間、手間、費用がかかりますが、米国の大豆生産者団体や米国油化学会が一緒になって対応しようという動きは大変に良いことだと思います。大掛かりですがとても地味な努力です。今後とも少しづつ前進することを切望します(P良、2007)。

 
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