アメリカ大豆協会

瀬良英介ニュースレター

瀬良英介の一般業界向け
飼料・畜産トピックス
2007年6月 (162)

家畜単位(アニマル・ユニット)

家畜単位(アニマル・ユニット)という言葉は、一般的な米国の畜産・飼料文献や統計などによく出てくる言葉です。学術論文の中にも使われる場合もあります。家畜単位は家畜を共通分母にして比較したい家畜家禽の飼料摂取量を分子にして単位頭羽数を表現するものです。絶対的なものではありませんし、捉え方が時折変わりますが、次のようなことです。学術論文の表などのときは、注釈のところに論文なり表の家畜単位のベースが何を意味しているかを通常は書き加えています。

雌の成牛1頭が1家畜単位として捉えられています。したがって、1頭の成牛メスが摂取する飼料の量に匹敵する他の家畜や家禽の頭羽数が示されています。家畜単位を考え出した当初は雌の成牛の体重を1000ポンド(約454キロ)とし、離乳前子牛のいるなしにかかわらず、としていましたが、この考え方は廃止されました。確かに飼料摂取日量は900ポンド(約409キロ)の牛の場合と1500ポンド(約680キロ)の牛の場合では大きな違いがあります。単純にみても、どちらの牛も平均して体重の2%の飼料は食べます。したがって、1500ポンド(約680キロ)の牛は1000ポンド(約454キロ)の牛に比べ50%余分に飼料を食べることは明白です。

加えて放牧期間が牛の家畜単位に与える影響も小さくありません。放牧が1ヶ月であれば、同じ牛が1年放牧された場合の十二分の一になります。この辺りから、放牧期間を考慮するときは、家畜単位月数が重要だとする向きもあります。体重の要因に放牧などの飼育期間を考慮することが土地単位に対して家畜を飼養できる概算を出すときに影響を与えることになります。細かく言えばきりがありませんが、下記の表は大雑把に比較するときの目安に使われている家畜単位です。

家畜単位の換算表例

家畜の種類

家畜単位

 成牛:離乳前子牛のいるなしにかかわらず、または、若雌2歳かそれ以上

1.0

 雄牛:2歳かそれ以上

1.3

 若牛:1歳から2歳

0.8

離乳子牛から1歳まで

0.5

 成馬

1.3

 馬:1歳馬

1.0

 離乳時子馬、または、

0.75

 5頭の成長した雌羊:離乳前子羊のいるなしにかかわらず

1.0

 5頭の雄羊:2歳かそれ以上

1.3

 5頭の羊:1歳

0.8

 5頭の離乳子羊から1歳まで

0.6

 雌豚

0.4

 雄豚

0.5

 子豚から200ポンド(約91キロ)まで

0.2

 75羽の産卵鶏、または、種鶏(ブリーダー)

1.0

 325羽の更新用若ヒナから6ヶ月令まで

1.0

 650羽の8週令ブロイラー

1.0

七面鳥(ターキー)

 35羽の七面鳥の種鶏(ブリーダー)

1.0

 40羽の七面鳥を成鶏まで

1.0

 75羽の七面鳥から6ヶ月令まで

1.0

余談ですが、近年では糞の状態、臭いの濃度、舎飼い状態の牛の満足度(コンフォート・インデックス)などを3段階から8段階前後の評価指数として報告する論文や記事が増えています。その場合も、表の注釈には、評価1は何を意味し、評価5は何を意味するかなどが書き加えられています。ヨーロッパの論文と米国やカナダの論文では、評価指数の捉え方や内容が違う場合もあるので、注釈は重要です。指数には基準の説明が注釈で付け加えられていなければ、読者は読者の立場での相対的な比較判断ができません。

若干、観点の違う指数ですが今でもよく米国で使われているのにホッグ・コーン・レイシオ(豚:トウモロコシ比)があります。これは、例えば、肉豚生体100ポンドの市場価格で買える市場価格のとうもろこしのブッシェル数の比です。とうもろこしが多く買えれば買えるほど飼料は安価につくれますので、養豚経営者にとっては経営が楽である確率が高いとされています。多くの米国中西部の養豚経営者はとうもろこしも作っていますから、現場で役立つ比率ですが、これなどは、将来、ホッグ・ガソリン・レイシオ(豚:ガソリン比)で示される場合もでてくるのではないかと脳裏をよぎるときがあります。然し、こういう比率を参考にするのは、とうもろこしや大豆ミールなどの原料をコモディティとして捉えている証でもあります。将来は、恐らく、好むと好まざるとにかかわらず、畜産・飼料分野の大部分では栄養密度の高い飼料を飼育・経営条件に合わせて精密に計算して与えるプレシジョン・フィーディング(Precision Feeding =正確で精密な給与)の方向に向かうと思います(P良、2007)。

 
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