ロコソウと馬や羊
ロコソウはロコ・ウィードと呼ばれるマメ科植物ですが、米国では、米国北西部に生えている有毒な雑草です。ロコソウにも種類がありますが、アストラガラスとオキシトロピス種(Astragalus and Oxytropis species)の雑草は放牧中の馬や羊にとっては重大な問題を引き起こす有毒マメ科植物です。ロコソウの問題は米国北西部のみならず世界中の国々で放牧されている馬や羊に起きる問題ですが、問題を起す毒性物質はインドリジディン・アルカロイドのスワインソニンです。臨床的にはロコ・ウィードを食べた動物は機能低下(人間で言えばうつ病を含む)を起し、筋肉中などにある感覚受容器の著しい低下、震え、神経過敏状態、衰弱、致死などをもたらします。スワインソニンは家畜の脳に障害を起すことで飼料摂取に問題を起すことが知られていますが、馬は特に敏感な動物ですのでロコソウを放牧中に牧草と一緒に食べないように注意すること、ロコソウの毒性を含む飼料を与えないようにすることが求められています。放牧や飼育している馬にロコソウ摂取の問題が起きたときは、馬の持ち主や経営者にとっては経済的にも莫大な損失をもたら可能性があるので数多くの研究が多角度から米国や英国の神経学、獣医学、脳神経学、行動生理学、行動心理学、農業食品学などの学会に報告されています。
最近ではユタ州立大学心理学部とユタ州ローガンにある米国農業試験場の毒性植物研究ラボが共同でロコソウ中毒の馬や羊に対して与えるために調整した飼料の味覚嫌悪などについて興味ある報告をしています。基本的には3処理区の試験ですが、詳細やそれぞれの結果やディスカッションは割愛します。試験に使用したロコソウ・ペレット(重量に対して15%)は粉砕したロコソウを大麦(19.5%)、粉砕とうもろこし(21%)、大豆ミール(9%)、フスマ(16%)、粉砕ルーサン(粉砕アルファルファ)(15%)、糖蜜(2.5%)、第二リンカル(1%)、微量ミネラル塩(1%)で、これらは原物重量比でつくってもらったものです。馬にはロコソウ・ペレットが体重1kgに対して1mgのスワインソニンを投じるようにし、羊には体重1kgに対して2mgのスワインソニンを投じるようにしています。試験期間は、馬にはロコソウ・ペレットとアルファルファ乾草(ルーサン乾草)を合わせた総飼料量を体重の1.5%与え、羊にはロコソウ・ペレットとアルファルファ乾草(ルーサン乾草)を合わせた総飼料量を体重の2%与えています。
研究者は報告の中で試験結果から示唆されることは馬や羊が事前にロコソウ中毒を起している場合、強く継続的な味覚嫌悪が新しい飼料に対しておきるとしていますが、然し、中にはロコソウ中毒を過去に一切起したことのない動物が起す味覚嫌悪ほど強くないものもあるとしています。詳細に関心のある方は米国畜産学会誌(J.Anim.Sci.2007.85:1836-1841)を参照なさることをお勧めします。 |