アメリカ大豆協会

瀬良英介ニュースレター

瀬良英介の一般業界向け
飼料・畜産トピックス
2007年10月 (170)

米国のコマーシャル・ブロイラー飼料に使われる酵素の一つの評価

この試験報告は米国のコマーシャル・ブロイラー産業が一般的に使っていブロイラー飼料設計に準じたものに飼料酵素(ロバビオ・エクセル)を添加し、飼育出荷も一般的なコマーシャル・ブロイラー農場での飼育環境に準じ、出荷体重を約2.5kgにした場合の添加飼料酵素の評価を行っています。

ミシシッピー州立大学家禽学部のウエストを始め、米国国立南部研究農場、ジョージア州のアディセオ(ロバビオ・エクセル)を含む計5名の報告ですが、私は日本でも飼料酵素の使用が色々な意味で今後増えることは必至だと思いますので極簡単に試験内容の一部を御紹介しましょう。

飼料酵素試験は異なるアミノ酸やエネルギー組成の異なる飼料に対して行っています。栄養素レベルを変えることによる主な影響は、アミノ酸レベルを主に減らした場合に処理場で腹脂肪が高かったということです。栄養組成含量とエネルギーが異なる配合設計に飼料酵素を添加した場合、ブロイラーの生育成績や屠体の形質に影響は与えませんでした。

然しながら、添加飼料酵素は(試験1)で14日令の死亡率を下げ、(試験2)で41日令の死亡率を下げましたが、(試験3)では死亡率への影響はありませんでした。将来の研究では添加(外因性)酵素が死亡率の軽減をもたらす面を更に明らかにしていけばコマーシャル養鶏経営者(インテグレーター)に役立ち利するところがあるでしょう。また、この試験で検討されているよりも飼料栄養素レベルを下げれば添加飼料酵素が栄養素の解放を通して起きる関係の中でブロイラー生産や屠体形質に与える利点が出てくるでしょう。

研究者グループは報告の最後で実践的な結論として3点を挙げています。(1)飼料中ロバビオ・エクセルと飼料密度(エネルギーとアミノ酸)について相互作用はありませんでした。(2)アミノ酸密度を高めるにしたがい飼料効率は3試験のうち2試験で改善され、相対的な腹脂肪が3試験全てについて減りました。(3)飼料添加したロバビオ・エクセルは成長、飼料効率、及び、屠体形質に影響を与えませんでしたが、死亡率が2試験(試験1:14日令、試験2の全体的な死亡率)について減りました(p= 0.06)。

報告では問題解説の部分で ロバビオ (Rovabio)が ペニシリアム・フニクロサム (Penicillium funiculosum) の発酵液から得た キシリナーゼ や β-グルカナーゼ などを濃縮したものであることなどに触れ、今までの結果からも腸管内の酵素が健康に与える良い効果に外因性(添加)酵素を組み合わせて与えると健康状態が更に高まることなどが証明されているとを指摘しています。製造会社ではロバビオはエネルギーの消化率が2〜6%改善され、アミノ酸消化率を1〜2%促進するとしています。また、コヴィーソンら(Cowieson et al.)はブロイラーにとうもろこし・大豆ミール飼料を与えたとき キシリナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、及び、フィターゼ の組み合わせにより栄養素の消化率が高まったとしています。

試験(1)〜(3)の対照区と試験区の配合設計なども詳細に報告されていますが、ここでは割愛します。ただ、試験(1)の期間は1日令〜14日令、15日令〜31日令、32日令〜42日令に分けられ、対照区、対照区+ロバビオ、MEを66kcal/kgとアミノ酸を2.5% 減じた区、MEを66kcal/kgとアミノ酸を2.5% 減じた区+ロバビオに分けられています。因みに大豆ミール混入割合は33.52%〜22.18%の間で、CPは21%〜15%の間です。試験2や試験3は僅かに出荷日令が異なり、最終がそれぞれ33日令〜40日令、34日令〜49日令です。また、対照区に対してアミノ酸を5%と10%増しにした区を設け、それらに対しても試験1同様にロバビオを加えた区を設けていますが割愛します。ロバビオ(0.200L)は1.5Lの飲用水に混ぜられペレット飼料に噴霧しています。

表9点からなる9ページの論文は数値などの詳細が出ていますが、冒頭に触れました研究者グループによる結果などからかなりお判りになると思います。詳細に興味のある方は米国実践家禽研究誌(M.L. West, et.al., 2007 J.Appl.oult.Res. 16:313-321)を参照なさることをお薦めします。

余談ですが、冒頭でも触れましたように「私は日本でも飼料酵素の使用が色々な意味で今後増えることは必至だと思います」。また、本試験でもベースになる飼料はとうもろこし・大豆ミールですから、それら主原料の栄養素をよりよく利用することには関心が高まるでしょう。特に、バイオディーゼルやエタノール生産が相当量増えるにしたがい、エネルギー原料であるとうもろこしや油脂給源になるような原料に対して代替原料を考えるようになることは必至です。加えて、大豆ミールやとうもろこし原料中の栄養素をよりよく利用したいという機運は高まります(瀬良、2007)。

 
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