アメリカ大豆協会

瀬良英介ニュースレター

瀬良英介の一般業界向け
飼料・畜産トピックス
2007年12月 (174)

オーガニック用に作られた大豆、蕎麦、アマニなど飼料原料の栄養

米国の数多くの小規模経営農家は工業的に(大規模に)生産する農場との競争に勝ち残るためにオーガニック作物を生産する方向に転じてきています。そうする過程で農家が経営している地域では普通には作っていない作物を作っています。有機的に生産されたとうもろこし、小麦、大麦、えん麦、大豆、雑豆、蕎麦とアマニの検体を中西部全般の農家から集めました。

  有機的に生産された作物の栄養含量は同様の作物を工業的に生産され発表されている栄養成分の数値と比べました。特定の作物の栄養成分は今までにも異なる気象、土壌条件、成熟度、栽培種、管理や処理要因が異なることにより変動が出ることが示されています。オーガニック作物の生産が行われるようになってからまだそれほどの歳月が経っているわけではないので、有機作物生産を実施している農家も生産方法が戸々の農家によってかなり異なります。

結果として、オーガニック飼料作物の栄養含量は検体ごとに分析してみるとかなりの変動があります。このような変動はオーガニック飼料作物を使って家畜飼料の設計をするときに影響を与えます。しかるが故にオーガニック飼料作物として生産された作物の栄養含量データベースを構築していく必要性があることを示しています。

ミネソタ大学のJ.P.ジェイコブ博士が行った調査のサマリーを上記に示しましたが、研究者も指摘しているように米国農業の中でオーガニック農地として認証を受けている割合は2002年から2005年の間に111%伸び、農業武門の中では最も早く伸びている部門です。この間にオーガニック家禽生産の全体的な伸びも119%と似たような伸びを示しています。家禽生産の中での主な部分は鶏卵と鶏肉ですが、オーガニック鶏卵が130%伸び、オーガニック鶏肉が243%伸びています。オーガニック家禽の市場が成長するにしたがい、オーガニック飼料原料の必要性も伸びます。

オーガニック生産では害虫や病害を抑える主な方法として輪作が使われています。通常は、オーガニック生産を行うグループでは作物の輪作に使うために蕎麦、小麦、ソルガム、ミレー(ヒエ、アワ、キビの類い)、ライ麦、ハル無し燕麦(裸えん麦)、雑豆などで米国の家禽生産には一般的に使われていない穀類です。

オーガニック大豆も調達可能で家禽飼料には焙煎大豆やエクスペラー処理(機械圧搾)大豆を使う方法がありますが、どちらも家禽生産には一般的に使われていません。むしろ、家禽飼料としては溶剤抽出の大豆ミールを使うのが一般的です。

検体に同意してくれた農場からの細かい追加データはほとんど提供されていませんが、オーガニック的に生産されたとうもろこし、小麦、大麦、えん麦、大豆、雑豆、蕎麦、及び、アマニの検体は中西部全域の生産者から得られました。それらは、オーガニック的(有機的)に生産されていますが、全てが有機作物として認証されているものではありません。

農場によっては移行中と記されたものがありした。それはらは現在収穫した作物がオーガニック的に生産されていてもオーガニック飼料作物としての認証を受けるためには、特定の生産農地でのオーガニック作物生産が3年間以上継続して行われていなければ認証は受けられないからです。

検体数としてはとうもろこしが6検体、小麦が9検体、大麦が5検体、えん麦が5検体、全脂大豆が7検体、大豆ミールが3検体、雑豆が8検体でした。その他にアマニを57検体をミネソタ州ワシーカの南部研究・アウトリーチ農場のオーガニック作物専用の大型試験舗場から任意に集めたものです。

全ての検体の乾物(DM)、粗蛋白質(CP)、灰分(ash)、ミネラル(mineral)、中性デタージェント繊維(NDF)、酸性デタージェント繊維(ADF)は、通常の分析方法でミネソタ大学で行いました。粗蛋白質(CP)は、Leco FP428窒素分析器を使い、NDFとADFはヴァン・ソーエストらが開発した方法で分析しました。粗脂肪(CF)、アミノ酸(AA)、脂肪酸(FA)組成はミズーリ大学コロンビア校の化学分析ラボが標準手法で行いました。

  調査報告は10ページからなり7点の膨大な表が含まれています。工業的に生産された原料の平均値にはDale and Batal, 2006、NRC1994年版などを使っています。この報告の骨子は前述の研究者によるサマリー通りですが、細かい数値などに関心のある方は、米国家禽学会の応用家禽研究(2007 J. Appl. Poult. Res. 16:642-651)を参照されることをお勧めします。また、冒頭にも記しましたが、ミネソタ大の研究者は、(J.P. Jacob, University of Minnesota)です。

  余談ですが、このような方向は日本でもすでに出つつありますし、その傾向はまだ一段と強まると予測されます。それは、先月の拙稿でも触れましたように米国の鶏卵生産の大半を占めるケージ採卵養鶏は約10年後の2018年には基本的に止めるという業界の意向からも推測できることです。恐らく、日本ではこのあたりの捉え方や背景についてのニュアンスや理解に大きな開きがあるので今後とも誤解、混乱、紆余曲折を経ていくと思います。それでも最終的には、日本のコンシューマーや業界は国内外の全体的な市場構造の中での選択肢を残しながら流動的な変貌を求めるでしょう。

  早くも12月末になりました。本年もトピックスを読んでくださり有難う御座いました。新年からも継続してトピックスを掲載することになりました。今後とも、大豆ミールとそれを取り巻く畜産・養鶏・酪農・水産飼料や関連のトピックスを選んでいく所存です。新年からも何らかのお役に立てることを願いつつトピックスを扱った拙稿を載せますので読んでくだされば嬉しい限りです(瀬良、2007)。

 
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