瀬良英介の一般業界向け

飼料・畜産トピックス

2005年6月 (113)

(113)焙煎大豆をブロイラー・ターキーに与えた報告

カナダのノヴァスコシャ農科大学と大西洋家禽研究所の研究者グループ(D.M.Annderson、他3名)が直火焙煎大豆をブロイラー・ターキー(雌)のスターター、グローワー、フィニッシャーの各飼料に与えた報告をしています。


簡単な結論は次のようなものです。焙煎大豆を与えられていた84日令のブロイラー・ターキーの屠体蛋白質含量は対照区のブロイラー・ターキーと同等であり、屠体脂肪含量は低かったということです。


試験に使ったブロイラー・ターキーは、雌のニコラス・ホワイト種(1日令)を560羽使い、個々の鳥の体重は21日令、63日令、84日令の三回記録しています。飼料は全てCPMで作った蒸気ペレットです。


この試験では、スターター飼料のみ大豆ミールと部分的に置き換え、0%、或いは、15%レベルで作られており、グローワーとフィニッシャー飼料では、大豆ミールと部分的、或いは、完全に置き換える方法を段階的に取って4種類の飼料を作っています。焙煎大豆:大豆ミール比率の4段階は、焙煎大豆0:大豆ミール100の比率から、33.3:66.6、66.6:33.3、最後に焙煎大豆100:大豆ミール0の比率で行っています。


21日令では、焙煎大豆含有のスターター飼料を食べていたブロイラー・ターキーは、対照区に比べ摂取量が多く体重も重かったのですが、飼料効率は似通っていました。飼料摂取量と飼料効率は焙煎大豆と大豆ミールの比率による影響は受けていませんでした。然し、焙煎大豆が66.6、大豆ミールが33.3の比率の飼料を与えられていた区は、他のどの区よりも体重が重かったのです。そして、前述のように焙煎大豆を与えられていた84日令のブロイラー・ターキーの屠体蛋白質含量は対照区の鳥と似通っており、屠体脂肪含量は低かったということです。


因みに、配合設計中の焙煎大豆と大豆ミールの比率による配合割合は、スターター飼料の場合、焙煎大豆が0%とデハル大豆ミールが32.54%、または、焙煎大豆が15%とデハル大豆ミールが20.64%でした。飼料は、どちらも 代謝エネルギーが3000kcal/kg、粗蛋白質が 26.0%、カルシウムが 1.30%、有効リンが 0.70%、リジンが 1.44%、メチオニンが 0.55% でした。


グローワー飼料では、4種類の焙煎大豆とデハル大豆ミールの比率による配合割合は、焙煎大豆が0%とデハル大豆ミールが21.47%、同じ順序で7.74%と15.47%、16.79%と8.40%、そして最後に焙煎大豆が27.47%とデハル大豆ミールが0%でした。飼料は4種類とも代謝エネルギーが 3,176kcal/kg、粗蛋白質が 20.0%、カルシウムが 1.10%、有効リンが 0.55%、リジンが 1.03%、メチオニンが 0.45%でした。


フィニッシャー飼料では、4種類の焙煎大豆とデハル大豆ミールの比率による配合割合は、焙煎大豆が0%とデハル大豆ミールが16.44%、同じ順序で5.93%と11.86%、12.86%と6.43%、そして最後に焙煎大豆が21.04%とデハル大豆ミールが0%でした。飼料は4種類とも代謝エネルギーが 3,252kcal/kg、粗蛋白質が 17.0%、カルシウムが 1.00%、有効リンが 0.50%、リジンが 0.90%、メチオニンが 0.40%でした。


この試験全期間で使用していた他の主な原料はとうもろこし、小麦、魚粉とタローでした。スターター飼料のとうもろこしは約41%と小麦が10%です。グローワー飼料では、とうもろこしが約54%と小麦が10%です。また、フィニッシャー飼料では、とうもろこしが約60%、小麦が10%でした。


報告の詳細に興味のある方は、(2005 J. Appl. Poult. Res. 14:116-121)を御覧になることをお勧めします。


余談ですが、ブロイラー・ターキーであれ、通常のブロイラーであれ、夏の暑さで飼料の摂取量が下がるときは、焙煎大豆(加熱処理大豆)のようにカロリー(油分)も蛋白質も高い原料を与えることで飼料の栄養密度を上げることが可能になります。そのことにより、成長や産肉に日々必要な栄養素の実量を摂取することが可能になります。つまり、減った飼料摂取日量の日糧単位当りの栄養素のパーセントを上げることで、摂取日量が下がった分をカバーするのです。同じことは他の動物にも言えます。動物である人間が夏ばてで食が進まないときに、素麺(炭水化物)だけではカロリーも蛋白質も足りなくて夏痩せしますが、そういうときに日本人は昔から生活の智慧により土用の丑の日に鰻の蒲焼を食べて夏ばてを防いでいたことでも判ります。勿論、栄養学的には、一日だけ鰻の蒲焼を食べただけでは一夏の夏ばての解消にはなりませんが、根底にあるコンセプトは正しいものです(瀬良、2005)。