瀬良英介の一般業界向け 飼料・畜産トピックス 2005年8月 (117)
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高フィチン 低フィチン |
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| 0 FTU/kg | 2,000 FTU/kg | 0 FTU/kg | 2,000 FTU/kg | |
| とうもろこし | 29.49 | 29.49 | 32.12 | 32.12 |
| コーンスターチ | ――― | ――― | 15.00 | 15.00 |
| 米ぬか | 20.00 | 20.00 | 2.00 | 2.00 |
| 大麦 | 15.00 | 15.00 | 16.00 | 16.00 |
| 小麦 | 5.00 | 5.00 | 5.00 | 5.00 |
| 大豆ミールCP48% | 19.00 | 19.00 | 25.00 | 25.00 |
| カノーラ・ミールCP37% | 5.00 | 5.00 | 2.00 | 2.00 |
| カノーラ油 | 4.20 | 4.20 | 0.40 | 0.40 |
| モノ2リンカル* | 0.33 | 0.33 | 0.60 | 0.60 |
| 石灰石 | 1.10 | 1.10 | 1.02 | 1.02 |
| 食塩 | 0.35 | 0.35 | 0.36 | 0.36 |
| L・リジンHCL | 0.04 | 0.04 | ――― | ――― |
| 塩化コリン* | 0.05 | 0.05 | 0.05 | 0.05 |
| ビタミン・プレミックス* | 0.10 | 0.10 | 0.10 | 0.10 |
| ミネラル・プレミックス* | 0.10 | 0.10 | 0.10 | 0.10 |
| クロム(マーカー) | 0.25 | 0.25 | 0.25 | 0.25 |
| ナチュフォス | ――― | + | ――― | + |
* 注: モノ2リンカル=21.0% P, 15.0% Ca, 2.1g F/kg, 9.0g Fe/kg
塩化コリン=塩化コリンを60%含有
ビタミン・プレミックス(飼料1kg中供給量)=vitamin A(vitamin A acetate), 12,000 IU; vitamin D3, 1500 IU; vitamin E(dl-alpha-tocopheryl acetate), 50 IU; vitamin K3 (menadionedimethylpyrimidinol bisulfite), 1.5 mg; riboflavin, 5.5 mg; niacin, 25 mg; d-pantothenic acid(calcium pantothenate), 15 mg; vitamin B12, 0.02 μg.
ミネラル・プレミックス(飼料1kg中供給量)=Fe(ferrous sulfate), 135 mg; Zn(zinc
carbonate), 135 mg; Cu(copper sulfate), 20 mg; Mn(manganese sulfate),
40 mg; I (potassium iodate), 0.5 mg; Se(sodium selenite), 0.3 mg.
この試験のアミノ酸の消化率を含む詳細な結果に興味のある方は米国畜産学会誌(J. Anim.Sci. 2005.83:2130-2136)を参照なさると良いと思いますが、冒頭の簡単な結論でかなり言い得ているように思います。
余談ですが、この試験の研究者グループも論文中で指摘しているように養豚飼料への微生物フィターゼは、植物原料に由来するリンの吸収や利用を改善することが良く知られていることです。また、過去のいくつかの試験では、豚のアミノ酸の見掛けの回腸消化率が向上したことが報告されていますし、同様の報告は家禽にもあります。然し、他の報告からはフィターゼ添加によりアミノ酸の消化率が向上したという結果はまったく得られていないと指摘しています。
この研究者グループは、フィターゼ添加に対してアミノ酸の見掛けの回腸消化率の反応は飼料中のフィチンの含有量と原料中の本来のフィターゼ活性ではないかと仮定しています。言い換えれば、粗蛋白質とアミノ酸の見掛けの回腸消化率に対してプラスの反応があるとすれば、それはフィチン含有量が低く、原料中の本来のフィターゼの活性が高いときではなく、むしろフィチン含有量が高く、原料中の本来のフィターゼの活性が低いときにプラスの反応が出るのであろうとした点です。したがって、研究者グループは高フィチンリン飼料と低フィチンリン飼料の二種類を仮定の証明に考えています。高フィチン飼料には米ぬかを20%使っていますが、それは、米ぬかのフィチン含有量が高く、原料本来のフィターゼの活性が低いことによるとしています。
アミノ酸の回腸消化率はどうあれ、植物性原料中のフィチンリンの利用を高めることについての関心は、ここのところ米国においても非常に高まってきていることは事実です。方向としては二つ出てきています。それは(1)フィターゼを添加して使うことと(2)植物の遺伝的な改良(例えば、大豆のフィターゼを上げること)によって植物中のフィターゼの含有量を上げる二点が関心ごとです。特に、後者の場合、植物性原料中のリンや他のミネラル類を単胃動物や家禽が相対的によりよく消化吸収することの必要性を考えているからでしょう。その背景には、リンという高価で有限なミネラルを無駄なく家畜生産に利用し、また、余分なリンの排泄を排除して環境問題の改善を考慮するという視点が入っているのだと思います。この点については、先月の飼料・畜産トピックス116号にも「畜産、環境、農村社会との関連」と題してホグバーグ先生たちの報告と日本国内の場合についての個人的な見解を書き記しました(瀬良、2005)。