瀬良英介の一般業界向け

飼料・畜産トピックス

2006年1月 (128)

米国の食品小売業(スーパーなど)は、多面的に変化してきている

個人的にも米国を訪れる機会が度々ありますが、その都度、気がつくことは米国のスーパーや食品小売業が、非常に多面的に変化してきていることです。また、同じスーパーという言葉を使っても日本のスーパーのそれとはかなり違う面があることを、近年、特に気がつくようになりました。

 

  米国の伝統的、また、非伝統的な小売業には諸々のタイプの店舗があります:

 

伝統的な食品小売業(Traditional food retailers)

  • 伝統的なスーパー・マーケット(Conventional supermarket):形態としては食料雑貨を全て扱い、肉や農産物なども合わせて年間売り上げが最低200万ドル($1=115円のとき2億3000万円)あります。これらの店舗は、典型的には大体15,000品目を扱い、往々にしてデリ(デリカテッセンを詰めて言う傾向がありますが、調理済みの肉類、魚介類、燻製魚やサラダ、ソーセージ、燻製魚、最近では、寿司やロール巻きなど)やパン類(製パン)などを提供しています。
  • スーパー・ストア(Superstore):伝統的なスーパー・マーケットを大型化したもので、総販売面積(通常、一階)が最低40,000平方フィートあり、取り扱い品目も25,000種類はあります。スーパー・ストアは、食品以外の品目も幅広く扱っていますが、その中には健康や美容関係商品、及び、一般雑貨です。
  • コンビネーション フード・ドラッグ・ストア(Combination food/drug store):スーパー・ストアにドラッグ・ストアですが、総売上の85%が食品関係の売り上げからきています。日本の薬局とは規模と内容において完全に違いますが、日本の最近のコンビニで若干の咳止めや胃酸剤、また、健康補助剤などを扱っているのに僅かに似ています。
  • ウエアハウス ストア(Warehouse store):低マージンの食品雑貨店舗ですが、扱い品目数は少な目で、店内サービスも低いのですが、販売品目の展示(ケースや棚の置き方など)は合理的で人の流れに沿っており、また平均価格が低めです。
  • スーパー・ウエアハウス(Super warehouse):扱い量が大きく、形体としてはスーパー・ストアとウエアハウス ストアの中間のような店舗です。典型的なスーパー・ウエアハウスは、家庭で必要とするあらゆる面に対応できるサービス・コーナーを持っていますが、また、高品質の腐敗し易い生鮮食品や食材なども扱い、価格はいつも値下げで販売しています。これは、ウエアハウス(倉庫)という言葉からも判るように、通常は平屋の大きな倉庫風に見える建物です。
  • リミテッド・アソートメント フードストア(Limited-assortment foodstore):低価格で販売する食品雑貨店舗ですが、サービスやお客対応の内容は大変に少なく限られていますし、通常は扱い品目が2000種類以下で腐敗し易い食製品も扱っています。
  • スペッシャリティ・グルメ・リテイラー(Specialty/gourmet retailers):特定の食品項目を扱っています。例えば、オーガニック、地場生産の食品や食材など、エスニック、インターナショナル、或いは、健康食品などに焦点を合わせています。

 

非伝統的な食品小売業(Nontraditional food retailers)

  • スーパー・センターズ(Supercenters):巨大なフード・ドラッグ・ストアと一般家庭雑貨などを大量販売をする店舗ですが、これは通常一つ屋根の下に作られています。従って、広大な土地をベースに駐車場をセンターの回りに配置し、往々にして一階建てのこれも外からみると巨大な倉庫のように見えるものが多いです。スーパーセンターは、通常、幅広い食品、食材を扱い、また、食品以外の一般雑貨類も扱っていますが、売り場面積としては170,000平方フィート以上が平均です。また、典型的な例としては、売り場面積の40%程度までを食品雑貨品目の販売に向けています。
  • ホールセール・クラブ(Wholesale club):これは、メンバー性の小売と卸を兼ねた店舗ですが、これの特徴は、倉庫のような環境の中で限られた品目を扱っています。通常は、販売面積として120,000平方フィート程度あり、店舗の売り上げの30〜40%が食品雑貨ですが、品物は日本で言うところの、丸ごと売る方法、ケース売りやバルク販売が主体です。一般の消費者でも、メンバーになる年会費を払い個人会員になれば、その年会費の額に応じて割引率が決められている場合が多いです。
  • マス・マーチャンダイザー(Mass merchandiser):主に家庭用家具類、家庭用電化製品、アパレル(衣類)関係を販売する店舗ですが、食品(冷凍食品)などのケース売りも行っているところが多いです。
  • ダラー・ストア(Dollar store):字が示すがごとく、1ドル店舗とうことですが、日本の100円ストアや99円ストアとも少し違います。販売品目を全て1ドルで売るということではありません。限られたアソートメント・ストアということですが、一般雑貨類を扱い、最近では食品の扱いが増えてきています。これらの店舗は基本的な家庭用雑貨を非常に安い価格で販売しています。そのイメージからダラー・ストアとも呼ばれています。

私も米国ではサムス・クラブに時折行きますが、それはウォールマートの子会社です。その巨大なことやにはいささか驚かされます。また、同時に、シカゴなどのダウンタウンで小さいながら非常に良くやっている食品や雑貨店舗もあります。また、米国の中でも東西南北などの地域での町や地方都市の作り方一つによっても個々の対応が全然違います。郊外の大型店舗に差をつけられた市内の店舗でも、地方都市によっては、逆に発想の転換と町をあげての協力で逆転したところもあります。消費者というのは、チラシや広告を見て、激安だからそこに行くというのではなく、買う内容や量、ニーズ、時間とそこまで出かけるお金を考え、近所の店舗や郊外の大型店舗などをかなり賢く使い分けている人が多いように思います。

 

  ただ、家庭で購入する食品の傾向としては、上記の非伝統的な食品小売業の中では、スーパーセンターズが伸びており、その次にダラー・ストアを含む他の店舗が続き、やや並行してホールセール・クラブが続いてるという報告もあります。マス・マーチャンダイザーというのは、以前からありますが、伸び自体はそれほどではありませんが、根強い人気があります。

 

  牛乳・乳製品関係でも、上記の非伝統的な小売業は、同じく上記の伝統的な小売業よりも5%〜25%ほど販売価格が常時安いということが報告されています。どちらかというと目玉商品だけが売り物というのはあまり流行らなくなり、毎日が安い(Everyday low price)ということの中で目玉商品もあることが、その店に行く決定要因にはならないにしろ、歓迎する消費者は多いでしょう。

 

因みに、2003年の非伝統的と伝統的小売業では、目玉価格ではない通常の平均価格がローファット牛乳はガロン入り(3.8リットル)が$2.28に対して$2.41、全乳が$2.53に対して$2.63、卵(ダース当り、12個当り)が$1.07に対して$1.18、バターが(ポンド当り、454グラム当り)$2.09に対して$2.14、アメリカン・チーズが(ポンド当り、454グラム当り)$2.43に対して$2.74。

 

私見も織り交ぜて書きましたが、上記の伝統的、非伝統的店舗の種類や中味などについては、米国農務省経済研究サービス(USDA/ERS)の経済学者(E. Leibtag、Amber Waves Vol.3, No. 5)の論文を一部参考にしました(瀬良、2006)。