瀬良英介の一般業界向け
飼料・畜産トピックス
2006年3月 (132)
米国の畜産物消費予測や酪農関連状況など
米国の2006年暦年度での年間一人当たりの畜産物消費量は、卵が257.9個、赤身肉と家禽肉の消費量が101.5kgですが、内訳としてはブロイラーが一番多く39.6kg、続いて牛肉の30.4kg、豚肉の22.9kgとなります。七面鳥は7.4kg、子羊とマトンが0.5kgです。生乳の総生産量は2005年暦年が8千35万トンですので、国民一人当たりでは約270kgになります。これは、2004年暦年と比べても3.54%上がったことになり、2001年暦年と比べると実に7.1%上昇しています。
乳牛頭数は、2005年暦年が904万1千頭ですが、乳牛1頭当りの年間乳量は8,888kgで、2004年暦年に比べると3.3%上昇していますが、乳牛頭数は僅かに0.3%程度上がっています。2005年暦年を2001年暦年と比べれば、乳牛1頭当り年間乳量は7.8%上がり、乳牛頭数は極僅かに0.01%程度下がっています。全米の酪農経営者(酪農家)戸数は、生乳を販売してよいと認可を受けている2005年暦年の農場戸数が64,555戸ですが、これは、2004年暦年に比べて3.4%下がっています。また、2002年暦年と比べると13%下がっています。
このトピックスの畜産・酪農・乳牛関係の統計数値などについては、USDA/ERSの最新レポートなどを使いました。州・地域単位での乳牛生産関連の数値は、ホーズデーリィマン(英語版)3月10日号などにも載っていますが、本トピックスの数値とは引用した文献が異なりますので若干の違いがあります。
余談ですが、米国の酪農については、西部や南西部の超大型酪農が五大湖周辺の家族経営主体の酪農を衰退消滅させると言う方がおられますが、飼料原料と生乳や牛乳搬送など諸々の要因を考えるとそうはならないと思っています。確かに、生産戸数などは下がってきていますが、それは、どの地域においても起きています。
ペンシルバニア州やニューヨーク州を含む北西部諸州、ウィスコンシン州やミシガン州を含む湖周辺(レーク・ステート)、アイオワ州やイリノイ州を含むコーンベルトの戸数は2005年暦年で52,090戸で全体の約80%を占めています。然し、乳牛頭数は、全米乳牛頭数の48%あり、乳生産量も46%プラスあるということは、家族経営主体の五大湖周辺地域の酪農が色々な意味で変化しながらも健闘していると言っても過言ではないでしょう。実際、52,090戸は、2002年の戸数と比べれば12%下がっていますが、太平洋岸(西部諸州)、南部平原、山岳地帯、デルタ地帯、南東部、アパラチア地帯、北部平原などの戸数は同じ期間に16%下がっています。これは、日本の家族経営酪農にとっても興味あることでしょう。
全米で乳牛1頭当りの年間生乳生産量が2万ポンド(9080kg)を越す州は12州あります。乳牛1頭当り年間平均生産乳量が一番高い州はシアトル・マリナーズ本拠地のあるシアトル市で有名なワシントン州ですが、10,565kgあります。生乳出荷が認められているワシントン州の酪農経営は2005年暦年で610戸あり、241,000頭の乳牛がいます。飼養の特徴は北海道の酪農経営に似ており、高泌乳の鍵となっているのは、飼料面のみを端的に言えば、良質なアルファルファ主体の乾草やヘイレージやサイレージなど粗飼料を充分に生産、或いは、カスケード山脈の東側の乾燥地帯から調達した乾草を与えていること、また、粗飼料給与に合わせて配合飼料、濃厚飼料、大豆ミールなどが主体の蛋白質サプリメント、プレミックスなどを乳牛のステージごとにバランス良く十分に与えている点が挙げれるでしょう(瀬良、2006)。