瀬良英介の一般業界向け
飼料・畜産トピックス
2006年8月 (142)
大豆処理工程で副産物を大豆ミールに混入したときの評価
大豆ミール(粕)をつくる搾油工程で出る副産物は、それぞれが有意義な栄養特性を持つ原料であり飼料用副原料として使われています。特に、米国の場合は、脱皮大豆ミールをつくる割合が高いので副産物が多く出ます。
イリノイ大とオハイオ州立大のフェイやメイハンを含む12名の研究者が大豆油や大豆処理工程で出る副産物を大豆ミールに添加し、養豚や養鶏用準精製飼料(semi-purified diets)に与えたときの栄養組成分や消化率を調べ、最近12ページに及ぶ長大な報告をしました。特殊な報告ですので一般業界向け、また、一般の飼料関係者向けではありません。いくつかのポイントを簡単に紹介しましょう。搾油関係などの研究開発者が詳細な全文を御覧になりたい場合は、本トピックスの終わりに学会アクセスのサイトと論文番号などを付け加えておきます。
この報告は10×10ラテン方格法を使い、大豆処理副産物であるガム、油分、ソープストック、雑草種子など狭雑物を大豆ミールに再度混入したときの豚の栄養素成分、蛋白質の品質、栄養消化率などを調べ、鶏の真の代謝エネルギー(TMEn)や標準化アミノ酸消化率を調べています。
豚の試験では、副産物を添加していない大豆ミール、ガムを1%混入した大豆ミール、ガムを3%混入した大豆ミール、ソープストックを0.5%混入した大豆ミール、ソープストックを1.5%混入した大豆ミール、雑草種子や狭雑物を2%混入した大豆ミール、大豆油を5.4%(論文の表2では5.95%)混入した大豆ミール、焙煎大豆(ジェット・プロ焙煎器、デモイン、アイオワ州)の区と分けています。飼料は全てコーンスターチ、蔗糖(スクロース)、デキストロース、ミネラル・プレミックス類、ビタミン・プレミックス類、MTB-100(マイコトキシン・バインダー、オールテック、ニコラスヴィル、ケンタッキー州)などを使った準精製飼料に種々の混入が為されている大豆ミール、焙煎大豆、大豆油が組み込まれています。因みに副産物無しの大豆ミール混入割合は35.00%で、ガムやソープストックなどの区には32.95%から35.35%の大豆ミールが混入されています。論文の表2による大豆油添加5.95%の区は大豆ミールが37.20%、焙煎大豆の区は焙煎大豆が44.74%使われています。
試験はイリノイ大学とオハイオ州立大学で行われましたが、豚の試験では、豚(供試豚)が副産物の混入無しの飼料に比べ、副産物混入有りを組み合わせた飼料(論文では、組み合わせた飼料は、副産物混入率が一番高い場合としている:ガムが3%、ソープストックが1.5%、雑草種子や狭雑物が2%)を摂取した場合、見かけの小腸消化率が乾物、有機物、粗蛋白質、アミノ酸などについて下がりました(p=<0.05)。また、副産物の混入無しの飼料に比べ、副産物混入有りの何れの飼料(区)を摂取した場合でも、乾物、粗蛋白質、総必須アミノ酸、総非必須アミノ酸、総アミノ酸の見かけの小腸消化率が下がりました(p=<0.05)。焙煎大豆飼料のほうが大豆油添加飼料よりも乾物、有機物、粗蛋白質とアミノ酸の見掛けの小腸消化率が下がりました(p=<0.05)。雄鶏の試験では、焙煎大豆のほうが混入無しの大豆ミールに比べTMEn(
真の代謝エネルギー)が高かった(p=0.05)のに合わせ、ソープストックの混入率が高くなるにつれTMEnがリニアに増加しています。雄鶏に対して、個々のアミノ酸、総必須アミノ酸、総非必須アミノ酸、総アミノ酸などの消化率は焙煎大豆のほうが大豆ミール混入無しの飼料よりも低かった(p=<0.05)。ガム、ソープストック、雑草種子と狭雑物を搾油処理工程で再度混入することはミールの栄養価値を下げます。
この報告はかなり長大な論文です。冒頭でも指摘しましたように一般の業界向けではありませんし、また、一般の飼料関係者向けではありません。然し、搾油関連の研究開発者が詳細に関心がある場合は、次の米国畜産学会誌を参照なさることをお勧めします。掲載論文(J.Anim.Sci.2006.84:1403-1414)は、12名の研究者の専門が多義に渡っていることもあり、添付されている細かい9点の表やディスカッションには幅があります(瀬良、2006)。