瀬良英介の一般業界向け

飼料・畜産トピックス

2006年10月 (145)

オーガニック飼料原料

今月から米国の新穀物年度(2007年10月―2008年9月)になります。このトピックス・コラムもアクセスしてくださる飼料畜産業界や生産者に加え、研究開発や技術普及の方々が多く、また、関連機関の参照サイトに入れてくださっているので若干なりともお役に立っている面があるのだと感じ大変に嬉しいです。新年度も継続して執筆することになりました。今年も出来る限り日本の関係業界や現場にも参考になればと思われる内容、主に米国の学術・技術・業界トピックスなどの側面を紹介し、また、コラムニストとして出来るだけ公平な立場から見た俯瞰的なコメントも例年のように付け加えていく積もりでいます。

 

新年度は先ず米国本部のASAやUSBサポーターの一社であるミネソタ州ホープのサンオプタ・サンリッチ社(SunOpta / Sunrich Company: P.O. Box 128, 3824 S.W. 93rd St.Hope, Minnesota, 56046USA: E-mail; info@sunrich.com Web; www.sunrich.comToll Free; 800-297-5997Tel:507-451-6030Fax: 507-451-8201)が参考に送ってきた大豆関連のオーガニック飼料原料について一部を紹介したいと思います。

 

サンオプタ・サンリッチ社は認証オーガニック、ノンGMO、IP原料として家畜飼料やペットフード用(SunOpta / Sunrich : Animal Feed and Pet Food Inputs - Certified Organic, Non-GMO and IP Ingredients)の原料として大豆ミール(粕)関係以外にもとうもろこし、ヒマワリ、その他のオーガニック飼料原料を種々扱っています。

 

また、特徴や利点として認証オーガニックUSDA/NOP、EU、及び、JASも要望により対応するとあります。配合設計も行い、蛋白質、繊維、穀類原料関係を扱い、供給や価格のオプションも種々あるとしています。

 

処理工場などは最新技術を駆使した施設を使い幅広い品質の要望に対応できるようになっているとのことです。ターゲット・コントロールの考えによりトレーサビリティ・プログラム(生産・流通・販売追跡)を構築し、高品質飼料やペットフード原料を生産提供できるともしています。更に、バルクから貨車、トラック、或いは、コンテナーへの積み出しができ、中西部からの生産・供給原料は米国の東西両沿岸輸出港へ有利に運ぶことができるとしています。

 

  サンオプタ・サンリッチ社が提供している飼料原料表の中より大豆関係の飼料原料を御参考までに下記に示します。

 

サンオプタ・サンリッチ社提供の原料表より

(飼料用大豆関連原料を任意抜粋:瀬良、2006.10.)

大豆製品

粗蛋白質

油分

水分

繊維

オーガニック焙煎大豆

45±2%

28±2%

3±1%

6±1%

オーガニック大豆(生)

41±2%

18±2%

12±2%

5±1%

オーガニック大豆ミール(粕)

48±2%

6±1%

5±2%

5±1%

オーガニック大豆ハル(マメ皮)

15±3%

3±2%

10±2%

70±5%

オーガニックオカラ大豆繊維

(ペレット化入手可能)

30±3%

10±2%

9±2%

40±5%

 

 

オーガニック大豆粗油

(Organic Crude

Soybean Oil)

 

FFA

IV

MIU

Unsaponifiable

Matter

 

Max. 1%

 

130-136g/100g

 

Max.1%

 

Max.1.5%

 

オーガニック大豆精製油

(Organic Refined

Soybean Oil)

 

FFA

PV

水分

 

Max.0.2%

 

Max.0.5%

 

Max. 0.1%

 

15Y, 1.5R

 

  詳細や調達に関心のある方は、冒頭に示しましたミネソタ州サンオプタ・サンリッチ・グループの住所、E-mail, Tel/Fax., Toll Free Numberなどに直接にコンタクトをお取りになるか、アメリカ大豆協会日本事務所に問い合わせをなさることをお勧めします。また、ミネソタ州に出向く機会のある方は、ミネアポリスからそう遠くないので訪ねられるのもよいでしょう。

 

  余談ですが、オーガニック農場の経営数は2003年度の時点で8035戸です。これは、米国農務省経済研究サービス機関が行った全国調査によるものです。そして、オーガニック農場が米国の総農業用地に占める割合は0.2%と微々たるものですが、現在は、推定1%前後と高くなっています。これは言い方を換えれば、3年間で約5倍という早い速度で伸びています。

 

  ただ、オーガニック農場の大半はスーパー(消費者向け)に野菜などを生産する農場のことです。したがって、家畜用のオーガニック飼料原料を専門に生産販売する農場は僅かです。経営の一部分をオーガニック飼料原料用にあてている農場もありますが、多くは非常に生産供給が流動的です。理由は、酪農や畜産経営者の中でオーガニック飼料原料を購入して乳肉卵を継続的に生産販売を専門に維持することがとても難しいからです。例えば、酪農の場合、生乳・乳製品は販売価格の面でオーガニック・ディーラー、或いは、元締めとの折り合いが難しく、現実は非常に流動的であり、参入、転出が大変に多いことに起因します。

 

  養豚・養鶏の場合は、経営規模が巨大になる中でオーガニック豚肉やオーガニック卵を纏めて取り扱う販売システムの維持が難しく、まだ隙間産業としての範疇から脱皮できていないと言っても過言ではないでしょう。

 

  オーガニック畜産物を作るためのオーガニック飼料原料に対しての関心は、将来、相当に増えることは間違いないでしょう。ただ、米国の公的な大学や研究機関、学術関連学会の見解は、オーガニックやノンGMOとそうではない従来からの一般の家畜用飼料原料との間に基本的な栄養面での相違は何ら無いと明言していることです。私も基本的な栄養という観点からは同じ考えを持っています。

 

  然し、オーガニック飼料原料の輸入や国内生産、また、それらを与えて生産されるオーガニックな乳肉卵への需要と関心が一部の消費者にあり、強くなる傾向があるのであれば、やはりマーケッティングの有用な一手法として考慮し対応するのは、責任を伴う自由競争の社会の中では当然のことです。日本ではその傾向が米国よりも強く出る可能性があると思いますが、願わくば歪んだ形で成長しないことを切に望んでいます(瀬良、2006.16.)。