2005年産米国大豆の品質
Dr. Thomas J. Brumm
Dr. Charles R. Hurburgh, Jr.
Dr.. Seth Naeve
品質が大豆のマーケッティングでは重要な関心事であることに変わりはない。本報告では、下記に示した大豆品質に関する諸事項に関する現時点での概要を記したものである:
- 2005年産米国大豆の蛋白質、及び、油分組成
- 2005年産新穀大豆生産に至る歴史的推移
- 2005年産新穀大豆に影響を与えた気象条件
- 蛋白質含量とアミノ酸含量との関係
- USBの研究基金提供による出荷大豆の夾雑物調査に関する最初の結果、及び、
- AOCSのレファレンス・メソッド(参照用対照標準分析手法)をGIPSAが採択したことへの調査結果
本報告の数値や分析値は、顧客が米国産大豆を調達・利用するにあたり、役立てて頂くための情報である。
品質調査
1986年よりアイオワ州立大学(ISU)とアメリカ大豆協会(ASA)は収穫した新穀大豆の品質に関して調査を行ってきた。米国で大豆を生産している諸州(30州)の大豆生産者は、郵送による調査依頼にしたがい2005年産大豆の分析用検体を提供した。2005年11月4日までに受け取った検体は、蛋白質と油分含量についてインフラテックNIR器(Foss North America, Eden Prairie, Minn.)を使って分析した。使用インフラテックの標準偏差は、コモディティ大豆検体の蛋白質については0.33%単位、また、油分については0.32%単位であったが、これはアイオワ州立大学のウエット・ケミストリー法で得たカリブレーション(目盛り定め、検量)によるものである(ウエット・ケミストリー=wet chemistryは、簡便測定器材を使わないで試験管、フラスコ、試薬、オーブン・バーナーなどを使って得る従来からの化学分析手法を指す:注、瀬良)。
2004年産米国大豆
米国農務省の2004年10月12日付け生産見積もりによれば(USDA, 2004)、米国は2004年に31億700万ブッシェル(8千470万メトリック・トン)の大豆を生産した。これは2003年産に比べ27%増であり、最高の生産記録である。大豆の平均収量は1エーカー当り42.0ブッシェルで、2003年産の33.9ブッシェルより高く、1986年以来最も高いエーカー当り収量であった。推定大豆収穫面積は7400万エーカー(2990万ヘクタール)であるが、これは2003年に比べ2%増である。表1に2004年産大豆の生産統計概要を州単位、及び、生産地域単位で示した。生産増はいずれの大豆生産地域でも起きた。
組成分の数値は表2に示した。2004年産米国大豆の蛋白質と油分の平均含有割合は、それぞれ35.16%、及び、18.70%(水分13%ベース)であった。米国大豆の長期に渡る蛋白質の平均値、35.40%、及び、油分の平均値、18.61%に比べ、蛋白質は約0.2%単位低く、また、油分は約0.1%単位高かった。2004年産米国大豆からは、水分13%ベースの大豆1ブッシェル当り平均43.0ポンドの蛋白質(CP48%、)大豆ミール(注:脱皮大豆ミール、デハル大豆ミールとも呼ばれる、瀬良)、及び、10.9ポンドの油分を取ることが出来る。変動(標準偏差=SD)については、州内、地域内、及び、全米で捉えたとき、長期の変動についての平均とほぼ同等であった。
1 アメリカ大豆協会主催アジア歴訪大豆ミッションによる
大豆品質コンフェランス用(アジア:2005年11月14日〜21日)
(Prepared for the American Soybean Association Quality Mission to Asia, November 14 to 21,2005)
2 それぞれアイオワ州立大学・農業バイオシステムス工学部助教授、及び、教授
(Assistant Professor and Professor, respectively; Agricultural and BiosystemsEngineeringDepartmentIowaStateUniversity: Ames, Iowa, 50011)
3 ミネソタ大学・作物/植物遺伝学部、助教授(Assistant Professor, Department of Agronomy and Plant Genetics,
University of Minnesota: St. Paul, Minnesota, 55108)
米国産大豆の収量や物性上の品質(USグレード要因)などに関する数値は他の出典より得た。数値は州と州をまとめた地域(region)に分けて示した。また、2005年産大豆の生育期間中の気象条件も収集し、大豆組成分に対しての影響を示した。
2005年産米国大豆
米国農務省の2005年10月12日付け生産見積もりによれば(USDA, 2005)、米国は2005年に29億6700万ブッシェル(8千90万メトリック・トン)の大豆を生産した。これは最高の生産記録であった2004年産に比べ5%減である。大豆の平均収量は1エーカー当り41.6ブッシェルで、2004年産の42.2ブッシェルよりは下がった。推定大豆収穫面積は7130万エーカー(2880万ヘクタール)であるが、これは2004年に比べ3.6%減である。(表1)に2005年産大豆の生産統計概要を州単位、及び、生産地域単位で示した。生産減は、西コーンベルト以外のいずれの大豆生産地域でも起きた。
組成分の数値は(表2)に示した。2005年産米国大豆の蛋白質と油分の平均含有割合は、それぞれ34.92%、及び、19.41%(水分13%ベース)であった。米国大豆の長期に渡る蛋白質の平均値である35.38%、及び、油分の平均値、18.65%に比べ、新穀大豆の蛋白質は約0.5%単位低く、また、油分は約0.8%単位高い。2005年産米国大豆からは、水分13%ベースで、大豆1ブッシェル当り平均42.5ポンドの蛋白質(CP48%、)大豆ミール(脱皮大豆ミール、デハル大豆ミールとも呼ばれる:注、瀬良)、及び、11.4ポンドの油分を取ることが出来る。(このミールと油分の歩留まりは、NOPA「National Oilseed Processors Association = 全米植物油種子処理業者協会」の取引規約にあるミールを作るときの油分残留量0.5%があることを想定している:論文執筆者によるカッコ内付記)変動(標準偏差 = SD)については、州内、地域内、及び、全米で捉えたとき、長期の変動についての平均とほぼ同等であった。
2005年の天候
主なる大豆生産地域全般にわたっての天候は、理想的な地域から旱魃気味な地域まであった。播種と発芽は乾燥気味の地域では予定より早かった。雨の多かった地域では、平均的な予定よりも若干遅れた(原文のwetter areas = 濡れた地域というのは、多雨、豪雨などがあった地域のことであるが、それ以外にも、雨などの影響で土壌水分が高すぎたり、排水が良くなかった畑なども指す:注、瀬良)。旱魃地図(図1)にある濃い色の地域は、アイオワ州東側とイリノイ州中部の旱魃気味の度合いを示している。
9月末から全ての生産地域に降雨が始まり、それに伴いその季節としては異常なまでの暖かさがあった。また、季節の終わりに向かって光合成を高度に起させるだけの日光と熱が充分にあった。蛋白質の生産(エーカー当り)は植物組織の生成により、生育期間の中ほどで確立されているが、秋深まってから続けて起きた植物の代謝は、より多い油分と収量増をもたらした。従って、パーセント・ベース(割合)で捉えれば、蛋白質の含有量は相応に低かった。収穫時の水分含量は一般的に低かったが、例外としての可能性は、生育地域の東外れが遅い時期になってから大変な豪雨に見舞われたことであろう
歴史的にみた成績
大豆の収量と作付け面積は1990年代に着実に伸びたが、近年は、安定してきているように見受けられる。然し、2004年産と2005年産新穀は1990年代の傾向に戻ったが、それは、改良が進んだ遺伝と大豆生産地域の大部分における生育条件が良かったことによる。
(表3)は米国農務省の生産統計と組成分に関する調査結果を合わたものを示している。収量、蛋白質、及び、油分の数値は(図2)のグラフに示した。1990年代、収量は年間1エーカー当り0.5ブッシェルづつ増加したが、蛋白質と油分の平均含量の変化は僅かしか無かった。2005年産大豆の収量は増えたが、蛋白質と油分の数値は過去のデータの幅から外れるものではなかった。育種プログラムは、今後とも品質を明らかに失うようなことを起させないで収量を強調する。正味の結果としては、面積単位当りの蛋白質と油分の生産が着実に増大する(図3)ということである。
(図4)は調査の中での蛋白質と油分測定結果の長期にわたる変動(標準偏差)を示している。長期にわたる平均標準偏差は、蛋白質については1.50%単位、また、油分については0.88%単位であった。2005年産新穀の蛋白質と油分の標準偏差は、それぞれ1.46%単位と0.87%単位であった。蛋白質と油分の標準偏差の比率は2004年と比べ大きくは変わらなかった。つまり、二つの組成分の相対的変動はほぼ同様であった。
GIPSAは輸出大豆の公的検査からの結果をまとめている(GIPSA, 2005a)。公的検査は一連の物性要因を基にグレード(Grade)を定めるが、要請があれば、蛋白質と油分含量も報告する。歴史的数値は表4に示した。2005年の検査の大部分(>94%)はU.S. No. 2大豆に対してであった。米国産輸出大豆のFM(夾雑物)平均値が下がってきているということを示唆する形跡は見られる。つまり、2002年以前の8年間が夾雑物1.6%以上であったのに比べ2002年以後、平均1.5%以下である。GIPSAの組成分測定値(蛋白質と油分)は、ASA−USB−ISU(アイオワ州立大学)の品質調査数値と一致する。このことは、輸出大豆が一般的に米国産大豆の平均だということである。
GIPSAの数値は輸出地(積み出し港)で分けてはいない。ガルフ・サウス(ガルフ・南部)の諸港は一般的にはミシシッピー・オハイオ・イリノイ・ミズーリ河システムに沿った諸州から受けている。パシフィック・ノースウエスト(太平洋・北西部)の諸港は、調査の中でコーンベルト西側に分類されている諸州の大豆を受ける場合が多い。いずれの港においても輸出大豆の品質は、その港へ出荷している生産地帯の品質を反映している。過去19年間にわたる調査期間で、米国で生産される大豆のうち、コーンベルト西側で生産された大豆の割合は約40%から徐々に増え、50%を越すに至った。この変化は潜在的に蛋白質含量の低い地帯へと移行しているのである。生産地帯の地理的変化が起きているという全体像の中で捉えたとき、米国産大豆の蛋白質と油分の平均値が一定のレベルで保たれているということは、米国大豆の改良を継続して行っている遺伝産業の弛まぬ努力のお陰である。
(図5)は大豆処理に関するチャートであるが、蛋白質が47.5%から48.5%の大豆ミールを製造するときの大豆の蛋白質と油分含量の組み合わせを示している。ただの一度だけ(1997年)、米国大豆は陰をつけた最適な部分の左側に位置した。個々の州や地域では、往々にして48.5%ミール以上という部分のかなり右側に位置している。そして、米国大豆の平均は通常、この最適な部分の中央(脱皮大豆ミールが製造できる大豆の蛋白質と油分含量レベルの組み合わせを示した部分:注、瀬良)に位置している。
いくらかの大豆(搾油)処理業者は脱皮(デハル)処理を行わない。従って、低蛋白質ミール(例えば、CP44%ミール)を製造している。(図6)の大豆処理チャートは、蛋白質が43.5%から44.5%の大豆ミールを製造するときの大豆の蛋白質と油分含量の組み合わせを示している。
2005年データの解釈
2005年産大豆の油分と蛋白質含量が、それぞれ歴史的(過去の)経緯に照らしてみて、高いほうと低いほうの端にあることは明白である。蛋白質は最低レベルの次にあったが、油分は過去20年間の記録では最高レベルにあった。双方を合わせると(油分と蛋白質の合計)は記録の中では3番目に高い。このことは、全体のアウトプット、ミールとオイル(油分)、大豆の価値を平均的にみてもかなり良い。
調査開始当初の数年、我々は全製品の合算したアウトプットを経済的な面からどうであるかということを追跡できるように推定処理価値の考え方を開発した。米国においては、ミールとオイルでは、オイルのほうが実際には若干有利である(ポンド当り価格比、つまり、オイル/ミールは、永年の平均比である2.3に比べ、2.6である)。従って、総価値で捉えた場合、作柄が油分の開発(利用)に有利であるようにでると油分と蛋白質含量が永年の平均のときに得られていた価値を上回る。
油分が高く蛋白質が低いのであるから、平均的にもブッシェル当りのミール生産量は下がる面があるが、それでも通常の米国産大豆からは容易に48%ミールをつくることができる。蛋白質が相対的に低いにもかかわらず、脱皮(デハル)処理を行わない処理業者(搾油メーカーなど:注、瀬良)は、油分歩留まりが高いことへの利点を享受しながら、許容しうる低蛋白質ミール(44%)をつくることが出来る。(図6)にはミネソタ、アイオワ、及び、イリノイの3州からの価値が含まれている。パシフィック・ノースウエスト(太平洋・北西部)から積み出される大豆(例えば、ミネソタ州やアイオワ州)などからも充分な蛋白質含有量のあるミールをつくるできる筈である。処理業者は、脱皮するしないにかかわらず、ミールの品質を犠牲にすることなく油分の歩留まりから利益を得られる。
過去10年にわたり、アイオワ州立大学は大豆の粗蛋白質や油分のみならずアミノ酸組成を調べている。米国の家畜栄養専門家が飼料設計を組むときに検討する主な必須アミノ酸は5種類であるが、それは、リジン、メチオニン、システイン、トレオニン、及び、トリプトファンである。(Animal Nutritionist = 米国では家畜栄養を専門にする大学やエクステンションの教育・普及を行う人、飼料栄養専門コンサルタント、飼料会社や関連会社、そして、研究所の飼料専門技術者など。通常、獣医はこの分野での細かい専門性をも一緒に維持するのが難しいので栄養専門家と相互に補完しあって仕事をする場合が多い:注、瀬良)これらの必須アミノ酸は豚と家禽が必要としているが、体内での合成が出来ない。(図7)はこれらのアミノ酸を双方合わせて示しているが、一つは大豆の重量に対しての割合、そして、一つは大豆の総蛋白質重量に対しての割合である。蛋白質に対しての割合は蛋白質の品質を見る効果的な方法である。(必須アミノ酸のシステイン「cysteine」は、ベータ・チオル・アルファ・アミノ・プロピオン酸=β-thiolα-amino propionic acidが1個、シスチン「cystine」は、di-(β-thiol α-amino propionic acid)となり2個のシステインが2個の硫黄でつながっている。日本では、含硫アミノ酸としてメチオニン+シスチンと表現する。米国の家畜栄養要求量も同じであるが、近年、米国では、一部にシスチンの替わりにシステインを使うことの妥当性が指摘されている:注、瀬良)
蛋白質が低い大豆の総必須アミノ酸量は大きく下がっていなかった。そして、蛋白質に対しての割合の数値で見ると実際には低蛋白質大豆のほうが蛋白質の品質は良いことが示されている。このことは、もし配合設計が粗蛋白質ではなくアミノ酸ベースで設計されるならば、蛋白質が低い大豆からつくられるミールは蛋白質が高い大豆からつくられるミールに比べ、少なくとも優るとも劣らない大豆であることが指摘できる。蛋白質に対してのアミノ酸の比率は大豆ミール製造処理過程で変わることはなく、蛋白質の濃度が油分の除去によって単に上がるだけのことである。
大豆の積み出しに見られる傾向(パターン)は、2005年の組成分データと影響し合うであろう。米国西海岸沿いの諸港から積み出される大豆は恐らく西コーンベルト地帯からのものであろう。大豆の貨物運賃はパシフィック・ノースウエストからのアジア向け積み出しのほうが有利になるように変わってきている。同時に、西コーンベルト地帯の何軒かの処理業者は、大豆の蛋白質、油分、或いは、双方を足した数値が平均を上回っている場合、そのような大豆にプレミアムを払うプログラムを開始している。これらのプレミアム・プログラムについての詳細は2003年、及び、2004年調査報告にも加えた。これらのプログラムがもたらす影響は、生産大豆を自然な形で選別されていくということである。つまり、プレミアムが受け取れるような品質の大豆は地域でのローカル処理業者が提供するインセンチブの方に流れ、その他の大豆は一般販売市場でプレミアムを提供しないバイヤー(輸出業者を含む)向けになる。西コーンベルト地帯の処理業者たちは、歴史的に見て大豆の蛋白質が低いことに対してプレミアアム・プログラムを始めたのである。大豆を輸入するインポーター側の観点からすれば、輸出向け大豆の品質に起き得る傾向というのは徐々にであるが国内向けにプレミアアムを出している特色から離れていくであろう。同じようなインセンチブが輸出でも必要であるという統一したシグナル(要望)、つまり、全ての大豆の国内市場や世界市場での期待が上がるにつれ、組成への改良が必要であるということを大豆ブリーダー(育種業界)や生産者にも知らしめる必要がある。
FM(夾雑物)に関する調査
ユナイテッド・ソイビーン・ボード(USB)は、米国産大豆に含まれるFM(夾雑物)の量と種類を調べるためにアイオワ州立大学に対して調査研究費を供与している。若干の逸話的な証拠から(anecdotal evidence)、ラウンドアップレディ大豆(Roundup ReadyTM soybeans)が出現してからの過去10年間でFMの組成分(FMの構成・内訳)が変わってきていることが示唆されることである。似たような調査は過去にも実施されており、最近では1991年の調査がある。今回の調査は前回からの調査に積み重ねられるように計画されており、現在のマーケットの状態に対してのアップデートである。最終調査結果が発表できるのは2005年12月を予定している。
このプロジェクトの目的は、生産農場から輸出エレベーターに至るまでの大豆マーケット・チャネルの諸々の段階において、FMの組成や含有量を分析するものであるが、それは、より競争力のある(低FM)大豆を輸出することによる経済効効率の有無を調べることにある。この調査にはまだ分析をしなければいけない検体が残っているが、いくつかの傾向は明らかになりつつある。
1.割れ豆(broken beans)の部分がFM(夾雑物)組成分(FMの構成内訳)の中で最も変化するものである。もしより多くの大豆が割れ豆(more splits)であった場合、その大豆のFM中には割れ豆がより増え、その他のFM(夾雑物)組成分(FMの構成内訳)が減る。同時に全体のFMの割合(%)は割れ豆(split)の割合(%)に連動していなかった。これは、恐らく総FM%ががハンドラーによって管理されていることを示しているのだろう。
2.その他の穀類(grains)が2番目に組成分に変動を起させ、それに続いて雑草種子や他の組成分(FMの構成内訳)であった。雑草種子や他の組成分はFM(夾雑物)の中で、そして全体の検体中でより一定しているが、それは多分最初の段階でのハンドリングで決まってきたのだろう。これはエレベーターの搬入データ(inbound elevator data)で一貫していることであるが、この段階での主なFM(夾雑物)は畑から出るもの(土、植物の部分、雑草種子)で他の穀類や大豆の割れ豆(broken beans)がFM中に少ない。
3.2003年から2004年の輸出検体はFMの主な組成分割合として、その他の穀類と鞘(as other grains and as pods) が1991年に調査した検体よりも多かった。夾雑物(FM)の要因(contributor)としてとして雑草種子は下がった、そして、その他の組成分(土、植物の部分、とその他)は総FM中に占める度合いはほぼ同じであった。
USDAがAOCSの標準参照手法(AOCS Reference Method)を採択
米国農務省(USDA)、GIPSA(Grain Inspection Packers and Stockyard Administration)は輸出向け大豆の蛋白質と油分の検査を提供している。GIPSAの検査はそれぞれのハッチ(each hold of a ship)の(サブロット)(every sublot portion = 50,000ブッシェル)ごとに行い、バイヤーの要求があれば、その平均値は保証書に記載される。
GIPSAはインフラテックのNIR(近赤外線)分析器を使っているが、アイオワ州立大学もアメリカ大豆協会大豆品質調査を行うときに使っている。GIPSAのキャリブレーション(検量)はアイオワ州立大学のキャリブレーションよりもブレンドした(混合した)輸出用大豆を主に検査するために開発された。GIPSAのキャリブレーション(検量)の統計は(表5)に示した。アイオワ州立大学のキャリブレーション(検量)は、バラエティ(品種試験)の試験、或いは、生産者が販売する大豆を最初に搬入したエレベーターでの搬入ロットの(first point of sale)分析のような個々の検体を分析することを目的にしている。GIPSAと調査の平均値が等しいことは二つのNIRのキャリブレーションを使った検査値(成績)(performance)は、それぞれの応用分野でかなり近似のものである。
NIR分析器具は標準参照分析手法(Reference Method = レファレンス・メソッド)に合致するようにキャリブレーション(検量)が行われなければならない。世界貿易の中ではAOCS(American Oil Chemists Society、米国油化学会とも呼ばれるし、米国油脂化学者学会とも呼ばれる:注、瀬良)の分析手法がユニバーサルな手法(広く統一的に)として受け入れられている。アイオワ州立大学のキャリブレーションは下記の手法をラボにおいてベースにしている:
- 水分:AOCS Ac 2−41、アイオワ州(ホール・グレイン・オーブン)
Moisture: AOCS Ac 2-41, IowaState (whole grain oven)
- 蛋白質:AOAC 990.03、ユーロフィン、デモイン(燃焼、コンバスチョン)
Protein: AOAC 990.03, Eurofins, Des Moines (Combustion)
- 油分:AOCS Ac 3−44、ユーロフィン、デモイン(エーテル抽出、EE)
Oil: AOCS Ac 3-44, Eurofins, Des Moines (ether extract)
蛋白質と油分の出版されている(発表されている)再現率 (published reproducibility)は、AOCS検体分析熟達プログラム(AOCS Sample Proficiency Program) にあるAOCS保証標準参照手法(AOCS保証レファレンス・メソッド = AOCS ? Certified Analysis)では、0.2%単位である。
GIPSAのキャリブレーションは出版されている手法を省内で適応させたものである。次の短い記載はGIPSAのサイト(GIPSA, 2005b)から得たものである:
水分のレファレンス・メソッド (GIPSA’s Moisture Reference Method)
エア・オーブン(Air Oven)は穀類、及び、油糧種子の水分測定のためのレファレンス・メソッド(標準参照分析手法)である。一定の水分ベースに対して蛋白質、油分、澱粉含量を個々、或いは、合わせて出すときに調整するために水分値を使う。GIPSAの標準作業手順 (GIPSA standard operating procedure)にしたがい、代表的な検体 (representative sample) の重量測定を行い、標準化した強制通風オーブン(standardized forced-draft oven)に入れる。所定の乾燥時間をかけて乾燥後、検体の再度重量測定を行い、検体の水分含量を計算する。エア・オーブン・レファレンス・ラボ(レファレンスを測定する試験室)は、現場(ローカル、或いは、フィールド)で水分の公式測定(official testing)を迅速、且つ、簡便に行う水分測定器をサポートしている。GIPSAのエア・オーブン・ラボ(GIPSA’s Air Oven Laboratory)は ISO 9001:2000 登録済みである。ISOが世界的に承認されていることは、GIPSAの顧客に対して、分析結果の精度、及び、再現性についてより一層の信頼を与えることになる。
蛋白質含量レファレンス・メソッド (GIPSA’s Protein Content Reference Method)
穀類、及び、油糧種子の蛋白質含量測定のためのレファレンス・メソッド(標準参照分析手法)は、燃焼窒素分析法(CNA = combustion nitrogen analysis)である(俗に、窒素コンバスチョン法とも呼ばれる:注、瀬良)。粉砕した代表的な検体の重量測定を行い、熱と純粋酸素(heat and pure oxygen)を使って検体を完全に燃焼させる( completely combust = burn)。結果として生じるガスから窒素の量を測定し、粉砕検体(ground sample)の原物中(as is)の蛋白質含量を計算する。GIPSAの標準作業手順はAOAC国際メソッド 992.23 (AOACInternational Method 992.23)に沿っている。CNA(燃焼窒素分析法)の(レファレンス)ラボは、現場(ローカル、或いは、フィールド)で迅速な公式測定を行うNIRT測定器具をサポートしている。GIPSAのCNAラボ(GIPSA’s CNA Laboratory)は ISO 9001:2000 登録済みである。ISOが世界的に承認されていることは、GIPSAの顧客に対して、分析結果の精度、及び、再現性についてより一層の信頼を与えることになる。
抽出油分のレファレンス・メソッド (GIPSA’s Solvent Reference Method)
とうもろこし、大豆、ヒマワリ種子の油分含量測定のレファレンス・メソッド(標準参照分析手法)はソックステックの油分溶剤抽出法(Soxtec solvent oil extraction method)を使う。GIPSAの標準作業手順 (GIPSA standard operating procedure) にしたがい、代表的な粉砕検体の重量測定を行った後、油分を石油エーテルで抽出する。抽出処理を終了後、原物中 (as is) の油分含量を計算する。この方法はAOCSの公式分析法 Ac 3−44(AOCS = American Oil Chemists Society Official Method Ac 3-44)を修正したものである(原文では、modification を使っているので、あえて「修正」という訳語を使ったが、字句本来の「間違い、或いは、不十分な箇所を正しく直す」という意味ではなく、GIPSAが顧客の必要性に対応するためにAOCSの公式分析法に少し手を加えたという意味である:注、瀬良)。油分溶剤抽出(レファレンス)ラボは、現場(ローカル、或いは、フィールド)で迅速な公式測定検査を行うNMR と NIRT測定器具をサポートしている。GIPSAの油分溶剤抽出ラボ (GIPSA’s Solvent Oil Extraction Laboratory)は ISO 9001:2000 登録済みである。ISOが世界的に承認されていることは、GIPSAの顧客に対して、分析結果の精度、及び、再現性についてより一層の信頼を与えることになる。
AOCS は、現在、NIR キャリブレーション を作り出しているレファレンス・ラボ の検証を行い(harmonization project to verify the alignment of reference laboratories used to create NIR calibrations)双方が調和して連携が取れるように進めている。初年度での検体交換では、GIPSAラボはAOCS認定ラボ (AOCS ? recognized labs) と秀でて一致している。このプロジェクトの可能な一つの結果は、GIPSAの分析案や手法(protocols)を提出して貰い、AOCS分析手法ガイドブック (AOCS methods book) で許容しうる同等の手法修正 (permissible and equivalent method modifications) として扱うことであろう。
我々の見解としては、GIPSAの蛋白質と油分の分析は、市場でスタンダードとして使われているAOCS法による文書化されている品質コントロール技法を駆使して有能な分析者が行っている分析結果と一致しているという期待感に応じるためにも、船へ積み込む時点で契約やプレミアムを強化することに使えると考えている。
概要
- 2005年産米国大豆の総生産量は、孤立した旱魃地方があったのにもかかわらず、ほとんど30億ブッシェルあった。これは、去年の記録的な生産量を5%下回っている。
- 2005年産米国大豆の蛋白質は低めで(34.9%)、油分は前年などに比べ有意に高い(19.4%)。蛋白質と油分含量の変動 (variability) は、長期間の平均変動に似通っていた。処理業者(搾油業者)は目的のミール蛋白質レベルを得ながら、油分の高歩留まりから利することが出来る。
- 米国産新穀大豆は、他国の大豆に比べ蛋白質含量が低いながらも5種類の必須アミノ酸で捉えた場合、蛋白質の品質は優れている。
- 米国産大豆のFM(夾雑物)の組成分(FMの構成内訳)は1991年の調査時より変わった。雑草種子や土は減り、その他の穀類の割合が増えた。
- 大豆の水分、蛋白質、及び、油分含量を決定するために GIPSA と AOCS の分析手法 (methods) の提携が取れるように進めている。
(論文翻訳・文責・注釈:瀬良)
参考文献とサイト
-
GIPSA. 2005a.2005 US Grain Exports: Quality Report (Soybeans).USDA Grain Inspection, Packers and Stockyards Administration, Washington, DC. http://www.gipsa.usda.gov/pubs/04ex/04soybeans.pdf, accessed November 3, 2005.
GIPSA, 2005b.Reference methods and laboratories.USDA Grain Inspection, Packers and Stockyards Administration, Washington, D.C.http://www.gipsa.usda.gov/tech-servsup/metheqp/refmeths.htm, accessed November 3, 2005.
UNL, 2005.US drought monitor map, September 27, 2005.National Drought Mitigation Center, University of Nebraska-Lincoln, Lincoln, NE.http://drought.unl.edu/dm/archive/2005/drmon0927.htm, accessed October 31, 2005.
USDA, 2005. Crop production 2005. US Department of Agriculture, National Agricultural Statistics Service, Washington, D.C.http://usda.mannlib.cornell.edu/reports/nassr/field/pcp-bb/2005/crop1005.txt, accessed October 23, 2005.
表1:米国産大豆の生産データ、2005年新穀
出典:米国農務省 (2005年10月12日)
| WCB:西コーンベルト: |
アイオワ、カンサス、ミネソタ、ミズーリ、ネブラスカ、北ダコタ、南ダコタ |
| ECB:東コーンベルト: |
イリノイ、インディアナ、ミシガン、オハイオ、ウイスコンシン |
| MDS:中南部: |
アーカンソー、ケンタッキー、ルイジアナ、ミシシッピー、オクラホマ、テネシー、テキサス |
| SE:南東部: |
アラバマ、フロリダ、ジョージア、北カロライナ、南カロライナ |
| EC:東沿岸: |
デラウェア、メリーランド、ニュージャージー、ニューヨーク、ペンシルバニア、バージニア |
地域:諸州名など表1に準じる
検体数
蛋白質:%平均、標準偏差
油分:%平均、標準偏差、
13%水分ベース
出典:米国農務省(USDA)、及び、アイオワ州立大学(ISU)
蛋白質と油分含量は水分13%ベース
2005年収量データは2005年10月12日時点での推定
2005年蛋白質と油分データは2005年11月5日時点
GIPSA輸出検査データ、ISU調査データ
出典:USDA/GIPSA=Grain Inspection Packers and Stockyards Administration Iowa State University
蛋白質と油分は水分13%ベース
暦年、作物年度、No.2黄色大豆%、水分%、FM%、ダメージ粒%、蛋白質%、油分%
表5:GIPSAによる大豆の蛋白質と油分のキャリブレーションの成績統計数値
(calibration identifier SB081401、2001年8月14日公表)
データの幅(%単位)、標準偏差 (SD) 対レファレンス・メソッド(標準参照分析手法)(%単位)、出版(公表)されているレファレンス・メソッドの標準偏差(%単位)、
全てのデータは水分13%ベース、幅は0.5%単位に四捨五入
図1:米国の旱魃モニター地図 2005年9月27日時点 東部時間午前8時有効
強度、D0=異常に乾燥、D1=旱魃―中庸、D2=旱魃―酷い、D3=旱魃―極度、D4=旱魃―例外的
旱魃の影響のタイプ、濃い線は主な影響の記載、A=農業関係(作物、牧草地、牧野)、H=水分状態
図2:米国大豆の収量と品質に関する歴史的概要
縦軸:収量、蛋白質、油分 13%水分ベース
横軸:年次、収量(エーカー当りブッシェル)、蛋白質(%)、油分(%)
収量の傾向(トレンド)
図3:米国大豆の面積単位当り蛋白質と油分の生産推移
縦軸:エーカー当りポンド
横軸:年次、蛋白質、及び、油分棒グラフ
図4:米国大豆の蛋白質と油分変動に関する歴史的概要
縦軸:標準偏差と比率
横軸:年次、蛋白質標準偏差、油分標準偏差、蛋白質と油分標準偏差の比率
図5:蛋白質が47.5%〜48.5%の大豆ミールを作れる大豆の蛋白質と油分含量割合の組み合わせ
縦軸:大豆油分(%)(水分13%ベース)
横軸:大豆蛋白質(%)(水分13%ベース)
明るい陰の部分:47.5%〜48.5%の大豆ミールが作れる
それより左側は47.5%ミールが作れない
それより右側は48.5%以上のミールが作れる
USA平均 1986−2005、USA 2004年産、
USA 2005年産
油分の(イールド)歩留まり:
ブッシェル当たり12ポンド、(200kg/MT)
ブッシェル当たり11ポンド、(183kg/MT)
ブッシェル当たり10ポンド、(167kg/MT)
図6:蛋白質が43.5%〜44.5%の大豆ミールが作れる大豆の蛋白質と油分含量割合の組み合わせ
縦軸:大豆油分(%)(水分13%ベース)
横軸:大豆蛋白質(%)(水分13%ベース)
明るい陰の部分:43.5%〜44.5%の大豆ミールが作れる
それより左側は43.5%ミールが作れない
それより右側は44.5%以上のミールが作れる
USA平均 1986年−2005年、USA 2004年産、
USA 2005年産、MN=ミネソタ州、IA=アイオワ州、
IL=イリノイ州
油分の(イールド)歩留まり:
ブッシェル当たり12ポンド、(200kg/MT)
ブッシェル当たり11ポンド、(183kg/MT)
ブッシェル当たり10ポンド、(167kg/MT)
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