アメリカ大豆協会

ソーイ&ヘルス
ソーイ&ヘルス 2007夏号

■ EFSA、健康表示について意見を求める

2007年5月16日、欧州食品安全機関(EFSA)は、協議にかけるために、新しいEU栄養・健康表示規則に基づく申請書提出に関するガイダンス草案を発表した。EFSAは、潜在申請者、利害関係者(業界、消費者団体やその他NGO)、EU加盟国、およびその他すべての関係者に公開協議への参加を呼びかけている。参加は2007年6月17日まで、草案に対する意見という形で行われる。

このガイダンスは、上記規則第14条の疾病リスク低減表示と児童の発育および健康に関する表示の許可申請の準備および提出を容易するために作成された。またガイダンスは、同規則第18条に該当する健康表示に関する申請をカバーするため、後に更新されることになっている。これは、新たに明らかになった科学的証拠に基づく、および/または専有情報の保護要請を含む第13条(3)で規定されている、許可済み表示の地域別リストへの記載申請のことである。

ガイダンスは検討が続けられることになっており、健康表示申請の評価で得られた経験を考慮して適切に修正、更新がなされることになっている。

ガイダンスは、申請者がよく整理された申請書が準備できるように共通の書式を設定しているだけでなく、EFSAにとっては効果的かつ一貫した方法での科学的なアドバイスの提供を容易にするものとなっている。

こうした表示の標榜内容を裏付ける科学的根拠の評価は、EFSAの栄養製品・栄養・アレルギーに関する科学委員会(NDAパネル)が担当する。同パネルは栄養プロファイルを含め、その他栄養に関する諸問題についての作業も進めていくが、これは、食品が栄養と健康表示を掲げる上で遵守すべき栄養基準を明確にするのにも役立つ。

EFSAの栄養プロファイルについての科学討論会は、2007年9月に予定されている。

「健康表示の許可申請のための準備および提出に関する科学的専門的ガイダンスに対する見解草案」へのご意見は、EFSAのウェブサイトからオンラインでのみ提出できます。詳細情報、ご意見は<http://www.efsa.europa.eu/en/science/nda/nda_consultation/health_claim.htm>まで。

■ Alpro Soyaがカーボンニュートラルに

Alpro Soyaがイギリスの食品メーカーとしては初めて、完全なカーボンニュートラル【空気中の二酸化炭素の増減に影響を及ぼさないこと】へのコミットメントを発表した。同社は、さまざまな大豆製品を生産しているが、2007年は自社のカーボンフットプリント【二酸化炭素排出量】の評価に費やし、2008年からのカーボンニュートラルを目指したいとしている。

「カーボンニュートラルな企業となるには時間がかかるのは当然であるが、この目標を目指して既に第一歩を踏み出している。製造から流通まで、すべての段階においてCO2排出を評価し、可能な限り抑制していく」と、Alpro Soyaのマネージングディレクター、Bernard Deryckereは話している。Alproの環境への取り組みの手始めはベルギーの施設で、以後、イギリス中部のケタリング工場に展開する。一連のイニシャティブには、風車の設置、水運の利用拡大などのプロジェクトが含まれている。Deryckereはこうも話している。「われわれの取り組みが、他社や消費者へのさらなる刺激になることを願っている」
詳細は<http://www.alprosoya.com>をご覧下さい。

■ ハイン・セレッシャル・グループ、イギリスでリンダ・マッカートニーブランドを再出発

ハイン・セレッシャル・グループ(Hain Celestial Group)は、リンダ・マッカートニー・シリーズのベジタリアン向け食品をイギリス市場に改めて投入する。2006年に肉類を含まないリンダ・マッカートニーブランドを買収して以来、同社は製品の改良と開発、モダンなパッケージングなど、商品戦略の見直しを行ってきた。クォーターパウンダーやベジタリアンソーセージ、チリ・コン・カルネ(チリコンカン)ならぬチリ・ノン・カルネ(カルネは“肉”)や、カントリーパイ、ラザーニャを含む新しい製品群は、リンダ本来のビジョンを忠実に守り、彼女の食品に対する価値観を反映するよう、マッカートニー家と入念な協議を重ねて開発された。この夏、同社は「Taste the Change(変化を味わおう)」と銘打ったツアーを企画している。今後2、3年でヨーロッパや北米でブランドの更なる拡大を図る。詳細は<http://www.hain-celestial.com>をご覧下さい。

■ 大豆の苦味を和らげるための新たな共同の取り組み

ソレイ(Solae)とSenomyxは、大豆タンパク質の食味を向上し、一部の大豆ベース製品にある苦味を抑えるための新しい風味成分の共同開発に合意した。この新たな取り決めには、Senomyx独自の味覚受容体に基づくアッセイとスクリーニング技術を用いた、大豆タンパク質の新しい風味増強剤と味覚変換剤を発見するための共同研究が含まれる。ソレイはこの新たな合意に基づいて、新しい風味の発見と開発に資金を提供し、大豆タンパク質を添加している実質上すべてのカテゴリーの食品と飲料に対する、その新しい風味成分の世界独占使用権を得る。バイオテクノロジーを専門とするSenomyxはある一定段階まで権利を有し、ロイヤルティの支払いを受ける。両社は、開発を計画している新しい風味成分により、大豆食品は消費者にとってさらに受け入れやすいものになると見ている。詳細は<http://www.solae.com>をご覧下さい。

■ フロスト・アンド・サリバン、植物栄養素に関する報告書を発表

コンサルタント会社のフロスト・アンド・サリバンは、最近、「世界の植物栄養素市場の新たな展開」と題した報告書を発表した。その中で、食物栄養素すなわち植物エキスに含まれる成分は健康上のメリットがあるとされているが、食品やサプリメント業界のみならず、化粧品の分野からも高い関心が寄せられている、と結論付けている。フィトステロールとイソフラボンはどちらも多くの研究対象となっているが、報告書は、有益かもしれない成分の効果が科学的に確かに裏付けされない場合、厳しい健康表示規制は今後の更なる市場の成長の妨げになりかねない、と警鐘を鳴らしている。全体的に見てこの部門は順調で、グルコサミン、プロバイオティクス、ステロールエステル、乳漿タンパク質、オメガ3脂肪酸、Co-Q10については、今後数年間に最大規模の成長が見込まれる、と報告書は述べている。詳細は<http://www.marketresearch.com>をご覧下さい。

■ ViveSoyブランドの大豆飲料、ジュース、シリアル

スペイン、Grupo Leche Pascual社の「ViveSoy」ブランドには、大豆飲料(プレーン、チョコレート、バニラ風味)、「ViveSoy」豆乳入りジュース(オレンジ、パイナップル、ピーチ)、「ViveSoy」シリアルとシリアルバー(大豆とライスパフまたはコーンフレークをミックスしたもの)がある。
詳細は<http://www.lechepascual.com>をご覧下さい。

■ Lipogenが新たなPS成分を投入

イスラエルのLipogen社は、長期間にわたる精神的ストレスや心因性ストレス状態での脳機能を改善できるとする、特許取得の大豆レシチン・フォスファチジン酸とフォスファチジルセリン(PS)の複合体、Lipogen PASを発表した。Lipogen PASはGRAS(一般に安全と認められる物質)として承認されており、さまざまな機能性食品に使用することができる。Lipogenの製品はすべて、ベジタリアンおよびコーシャー(ユダヤ教の掟に従った清浄食品)用として認定されている。詳細は<http://www.lipogen.co.il>をご覧下さい。

■ Alproのチルド有機豆乳


Alpro社の乳製品を含まない代替ミルクのチルド製品ラインナップに、有機豆乳が加わった。Alpro Organicの成分は水、脱皮有機大豆、有機りんご濃縮果汁、海塩で、飽和脂肪酸の含有量が低く、オメガ6および3脂肪酸が含まれている。詳細は<http://www.alpro.com>をご覧下さい。

■ 黒豆飲料

シンガポールを拠点に世界展開する大手メーカーYeo’sは、大豆をベースにした一連の製品を製造しているが、その中には「オリジナル」と「甘味」の大豆飲料がある。ヨーロッパ市場に初めてお目見えするのは、丸大豆と黒豆を原料とする「黒豆飲料」である。
詳細は<http://www.yeos-europe.com>をご覧下さい。

■ 果汁と大豆の新飲料

ドイツのフルーツジュースと清涼飲料大手のBeckers Bester GmbHは、業務用の果汁・大豆飲料の新しいラインナップを発表した。果汁、天然湧水、非遺伝子組み替え大豆をブレンドした天然材料100%(人工甘味料や合成保存料を含まない)の飲料で、今のところ1リットルパックの「ピーチ・オレンジ」と「ラズベリー」が用意されている。詳細は<http://www.beckers-bester.de>をご覧下さい。

■手軽にエネルギー補給

イギリスのNatural Balance Foods社は、フレッシュフルーツ、大豆、オート麦をベースにしたTrek Raw Wholefoodバーを発売した。
1本68 gのバーには、タンパク質11 g、繊維質4 g、炭水化物33〜38 gが含まれ、カロリーは200〜400 kcalである。Trekバーにはミックスベリー、ピーナッツ&オーツ、ココアブラウニーの3種類のフレーバーがある。植物栄養素、ビタミン、ミネラルの天然成分のほか、イチョウと朝鮮人参も含まれている。
詳細は<http://www.naturalbalancefoods.co.uk>をご覧下さい。

■ メタ分析はイソフラボンの骨に対する健康効果を支持

中国と日本でのメタ分析は、大豆イソフラボンの摂取量の増加が骨の健康を促進するという仮説を裏付けている。過去の研究には矛盾があったが、今回の新しい研究は、1日に90mg未満のイソフラボンが骨密度を改善させる可能性を示唆している。調査者は、骨吸収マーカーである尿中デオキシピリジノリン(Dpyr)及び骨形成マーカーである血中の骨型アルカリホスファターゼ(BAP)を測定した無作為対照試験に注目した。3つの主要なデータベースであるPubMed、MEDLINE、EMBASEを使用して、計432例の被験者を含む9件の試験を確認した。

骨吸収マーカー(Dpyr)は、非摂取者と比べて、イソフラボンを摂取した被検者において著しく減少していた。1日わずか90 mg足らずの12週間に満たない継続的補充でさえ、プラセボと比較して著しい減少が認められた。プラセボと比較して骨形成マーカーが増加することも明らかとなった。

D-F Ma, et al. Eu J of Clin Nut 2007. Published online ahead of print, doi: 10.1038/sj.ejcn. 1602748, <http://www.nature.com/ejcn/journal/vaop/ncurrent/abs/1602748a.html>

■ 異なる方法で加工された製品由来大豆タンパク質のCVDリスク要因に及ぼす影響

50歳以上の高コレステロール血症の被験者(LDLコレステロール>3.36 mmol/L)28例が、無作為化クロスオーバー法により、6週間にわたり4種の食餌をそれぞれ摂取した。食餌は全粒大豆、大豆粉、豆乳のいずれかから作られた製品を含むように計画され、そして同量の動物性タンパク質(肉、鶏肉、乳製品)を含む食餌と比較した。食餌のコレステロール、繊維、脂肪酸組成を同等にした。飲食物は全て供給され、試験を通じて体重が維持された。血圧、血管内皮機能、総コレステロール、VLDLコレステロール、トリアシルグリセロール、アポリポタンパクB、C反応性タンパク質濃度における有意差は食餌間で認められなかった。豆乳食の摂取によって、動物性タンパク質及び大豆粉の食餌と比較してLDL血中コレステロール濃度における中程度の低下(4%)、また大豆と大豆粉の食餌と比較してより高いHDL-コレステロール(1%)及びアポリポタンパクA-I(2%)濃度がもたらされた。研究者らは、他の主な食事内容の変数を一定にした場合、異なる方法で加工された大豆製品及び異なる種類のタンパク質(動物と大豆)が、末梢血管内皮機能を含めた心臓血管病のリスク要因に及ぼす臨床的影響はほとんどない、と結論付けた。

NR Matthan et al. Am J Clin Nut Vol 85, No 4, pp960-966 April 2007,
<http://www.ajcn.org/cgi/content/abstract/85/4/960>

■ 大豆を含む食餌がメタボリックシンドローム管理に役立つ可能性

ハーバード大学の公衆衛生学科とイランのシャヒード・ベヘシティ大学医療科学部の研究者らは、メタボリックシンドロームを有する閉経後の女性42人を対象に、クロスオーバーの無作為化臨床比較試験を実施した。被験者は、対照食(DASH)、大豆タンパク質を含む食餌、もしくは大豆・ナッツを含む食餌を無作為に割り当てられ、それぞれ8週間摂取した。DASH期間の赤身の肉は、大豆タンパク質食期間では大豆タンパク質に、そして大豆・ナッツ食期間では大豆・ナッツに置き換えられた。大豆・ナッツのレジメンでは、評価対象のインスリン耐性スコアのホメオスタシスモデルが大豆タンパク質食や対照食と比較して著しく低下した。大豆・ナッツの摂取により、空腹時血漿グルコースは、大豆タンパク質食や対照食よりもさらに大幅に減少し、LDLコレステロールも減少した。血清Cペプチドの濃度においても、大豆ナッツの摂取により、対照食や大豆タンパク質食と比べて顕著な低下が認められた。このことから研究者らは、メタボリックシンドロームを有する閉経後の女性においては、短期間の大豆・ナッツの摂取が血糖コントロールと脂質プロファイルを改善したとの結論を下した。

L Asadbakht et al. Am J Clin Nut, Vol. 85, No. 3, pp735-741, March 2007
<http://www.ajcn.org/cgi/content/abstract/85/3/735>

■ 大豆イソフラボンとコレステロールのメタ分析

日本の研究者らによるこのメタ分析は、主として脂質プロファイルに対する大豆イソフラボンの正確な効果を評価するために実施された。イソフラボンを強化した大豆タンパク質とこれを減損した大豆タンパク質の効果も調査の対象となった。研究者らはPubMedで、1990年から2006年までの間に発表されたヒトにおける大豆タンパク質摂取の効果についての無作為対照試験の英語論文を検索した。11件の論文が選定され、そこから、大豆イソフラボンが血清中の総コレステロールとLDLコレステロールを有意に低下させたがHDLコレステロールとトリアシルグリセロールについては有意な変化が認められなかったことが明らかとなった。さらに、イソフラボンを強化または減損した大豆タンパク質が脂質プロファイルを有意に改善したこと、またLDLコレステロールの減少はコレステロール値が正常な被験者よりも高コレステロール血症の被験者で大きかったことも判明した。

K Taku et al. Am J Clin Nut, Vol. 85, No. 4, pp1148-1156, April 2007
<http://www.ajcn.org/cgi/content/abstract/85/4/1148>

■ イソフラボン摂取が卵巣がんのリスクを低減させる可能性

前向きコホート研究で、イソフラボンおよびその他の栄養素の摂取と卵巣がんのリスクの関連性が調査された。カリフォルニア教員研究集団(California Teachers Study Cohort)の適格女性97,275人のうち、280人が侵潤性もしくは境界型卵巣がんを発症した。イソフラボンの摂取は卵巣がんのリスクの低下に関連していた。しかしイソチオシアン酸塩の摂取は関連性がなく、主要栄養素、抗酸化ビタミン類あるいは他の微量栄養素についても同様であった。研究者らは、イソフラボンの食餌摂取は卵巣がんのリスクの低減に関連性があるかもしれないが、ほとんどの食事因子はその発生に対して大きな影響を与えるとは考えられない、という結論を出している。

ET Chang et al, Am J of Epid Vol 165 (7), pp802-13, 2007,
<http://aje.oxfordjournals.org/cgi/content/abstract/165/7/802>

今年3月、300人近い科学者が、バンコクで開催された「健康と疾病予防における大豆の役割」についての第7回国際シンポジウム」に参加した。このシンポジウムは、この種の国際会議としてはアジアで初めて開催されたもので、洋の東西を問わず、研究者らにとって、共同努力の可能性を検討し、情報の共有と交換を行なう格好の機会となった。

2日間のシンポジウムに先立って、アジア市場における大豆食品の導入に焦点を当てた1日の会議が開かれた。この会議に続いて、栄養不良の地域住民に対する大豆の役割に関する半日のワークショップが設けられた。

■ 栄養

欧米諸国と同じように、多くのアジア諸国でも、今や貧血といった栄養欠乏症のみならず、肥満、心臓疾患、糖尿病などの有病率が高まっている。このため、今回のシンポジウムでは、大豆食品が栄養不足だけでなく栄養過剰にも悩む地域住民にもたらすメリットにかなりの重点が置かれた。

会議の共同議長を務めたMark Messina博士(Nutrition Matters、米国)は、大豆食品の栄養と健康面でのメリットを強調した。大豆食品は良質のタンパク質の優れた供給源で、飽和脂肪酸やコレステロールが少ない。また、心臓(冠状動脈)の健康にも益する可能性がある必須栄養素、オメガ3脂肪酸を相当量供給する数少ない食物性食品の一つでもある。Messina博士は、体重管理に高タンパク食が有益である可能性が証拠付けられていることから、ヘルシーなタンパク質の供給源に対する消費者のニーズが一層の高まりを見せている、とも述べた。

■ 心臓疾患


Suzanne Ho博士(香港中文大学)は、大豆タンパク質のコレステロール低下効果に関する臨床および疫学データを再検討し、大豆タンパク質のLDLコレステロール低下作用の現在の推定値(3〜5%)は当初報告されていた値よりも低いとはいえ、LDLコレステロールが1%減少するごとに心臓疾患のリスクが2%から4%に低下することを考慮すれば、大豆タンパク質は冠状動脈製心疾患の予防に依然として極めて有益であることを指摘した。Paul Nestle博士(ベーカー心臓研究所、オーストラリア)からは、大豆に含まれるイソフラボンが、動脈の柔軟性を示す指標である動脈コンプライアンスを改善することで、冠状動脈の健康状態を直接的に改善する可能性が指摘された。また、John Erdman博士(イリノイ大学)は、大豆食品が飽和脂肪酸の多い食品を代替できることとイソフラボンが与えうるメリットと合わせた大豆タンパク質の直接的なコレステロール低減効果から、心臓の健康によい食事に大豆食品が果たす重要な役割を支持した。

■ エクオール

複数の研究により、エクオールの産生が人間の健康に有益である可能性が示されている。Kenneth Setchell博士(シンシナティ大学医学部)は、イソフラボン強化パスタがコレステロールのレベルを10%低下させたと同時に動脈の健康を向上させたという、未発表の研究結果の概略を述べた。一方、渡辺昌博士(国立健康・栄養研究所、日本)は、イソフラボンの代謝は個人差が極めて大きいことを指摘し、このことが大豆食品とイソフラボン関連の一部の試験結果の一貫性のなさの原因となっているかもしれないと示唆した。

■ がん

大豆と乳がんの関係が近年議論の的となっているが、Mark Messina博士は、ヒトにおけるエビデンスは、決定的ではないものの、大豆食品もイソフラボンのサプリメントも有害ではないことを示唆していると指摘した。閉経後女性を対象にベースラインと3ヵ月後に生検を行った最近の試験では、イソフラボンのサプリメントでは乳房組織におけるエストロゲン様効果は認められず、乳房の細胞増殖を促進していないことが判明した。理論的なエビデンスも、適度な量の大豆食品を児童期および/または青年期に摂取すれば、後年の乳がんリスクを低減する可能性があることを示唆している。

Mindy Kurzer博士(ミネソタ大学)は、動物実験と限定的な疫学データから、大豆食品とイソフラボンが前立腺がんの発生を抑制することが示唆されている、との報告を行った。しかし、疫学調査の多くは調査計画に欠陥があるとしている。何例かの臨床試験では、イソフラボンが前立腺特異性抗原レベルの上昇を遅らせていることが示されており、大豆食品が前立腺がんの治療に補助的な役割を担う可能性を窺わせている。

Kurzer博士の研究室が行った6ヶ月にわたる新たな未発表の研究では、こうした調査結果が確認できなかった。しかしこの研究から、イソフラボンが前立腺におけるアンドロゲン受容体の発現を著しく低下させたことが明らかとなった。

■ 骨の健康

池田行宏博士(近畿大学医学部)は疫学研究の成果を発表し、納豆の摂取が日本人女性の高い骨密度(BMD)に関連していることが明らかになったと報告した。このようなメリットは、納豆に含まれる大豆イソフラボン、もしくは高濃度のビタミンKによるものと思われる。Xianglan Zhang博士(中国)は、中国における約8,000人の閉経後女性を対象とした前向き研究の結果を考察した。この研究からは、大豆の摂取と5年間の骨折のリスクの著しい低減とに関連があることが判明した。またWilliam Wong博士(ベイラー医科大学、テキサス)は、米国農務省が資金を提供した2年間におよぶ試験の結果を発表した。これは2種類の用量でイソフラボンサプリメントを投与して、閉経後女性の骨量減少に対する効果を調査するものであった。予備的な結果から、プラセボ群と比較して、イソフラボンが骨量減少の割合を縮減することが示唆されている。

■ 更年期障害

ホルモン補充療法(HRT)の代替としての大豆食品の可能性について、Aedin Cassidy博士(イーストアングリア大学、英国)、Louise Dye博士(リーズ大学、英国)、Gita Rhadakrishnan博士(医療科学ユニバーシティーカレッジ・GTN病院、デリー)の3名がプレゼンテーションを行った。ホットフラッシュ(顔のほてりなど)に関する臨床試験の結果は、認知機能に対する大豆食品とイソフラボンの効果を評価するさまざまな研究同様、不定であった。予備的なエビデンスは、イソフラボンが実際に閉経後女性の認知機能のひとつもしくは複数の局面を改善することを示唆している。最後に、この分野ではさらなる研究が必要だと結論付けた。

■ 安全

乳幼児用調製豆乳、体重管理における大豆タンパク質の役割、さらには大豆食品とイソフラボンの安全性についても議論が交わされた。安全に対する懸念の大半は、ほとんどが動物のデータを根拠としたものである。残念ながら、人体での結果を予測するものとしては動物モデルは適切なものではない。これは特に人間とはイソフラボンの代謝が異なるげっ歯類に当てはまる。加えて、ヒトの臨床データおよび疫学データは大豆食品が安全であることを示している。会議は、提示された大豆食品のメリットの多くは今後の実証が待たれるが、大豆食品が食事に加えるべき健康的な食品であると見なすには既知の内容で十分である、と締めくくった。

「健康と疾病予防における大豆の役割」についての第8回国際シンポジウムは、2008年11月9日〜12日、東京で開催される。

この記事はアメリカ大豆食品協議会のためにMark Messina博士がまとめたシンポジウムのレビューに基づいている。(<http://www.thesoyfoodscouncil.com/>)

Mark Messina博士(Ph.D)は、栄養に関するコンサルタント業務を行うNutrition Matters, Inc.の共同所有者で、アメリカのロマ・リンダ大学の非常勤准教授である。博士の研究は主として大豆食品の健康上のメリットに関するものであり、「健康と疾病予防における大豆の役割」についての第7回国際シンポジウムでは議長を務めた。

シンポジウム主催者:(1)マヒドール大学栄養学科、タイ、(2)アメリカ大豆協会国際マーケティング部、(3)東南アジア大豆食品フォーラム(<http://www.soyconferencebangkok2007.com/>)

スポンサー:大塚製薬、テトラパック・アジア―大豆知識センター、ソレイ・カンパニー、ソルバー・プラントエクストラクツ、フードフォーカス・タイ

■■■大豆関連イベントのお知らせ■■■

2007年6月5-7日
Les 9Entretiens de Nutrition de LOInstitut Pasteur de Lille. フランス、リールにて。
<http://www.pasteur-lille.fr>.

2007年6月7-9日 「リグナン、アルキルレソルシノルと健康に関する国際会議」
Int’l Conference on Lignans, Alkylresorcinols and Health ヘルシンキにて。
<http://www.folkhalsan.fi/adlercreutz>

2007年6月11-12日 「プロバイオテック2007、プロバイオティック開発に関する問題の回答」
ProBioTech 2007, Probiotic Development Issues Answered フランス、ナンテスにて。
連絡先:probio2007@gate2tech.com <http://www.gate2tech.com/events/probiotech2007/>

2007年6月14-15日 「ニュートラコン ヨーロッパ:食品のサプリメント、スポーツの栄養、美の改革、市場機会及び規制」
Nutracon Europe: Food Supplements, Sports Nutrition, Beauty Innovations, Market Opportunities and Regulation 英国、ロンドンにて。
連絡先: admin@nutraconeurope.com <http://www.nutraconeurope.com/>

2007年6月14-15日 「2007年パリ肥満防止」
Paris Anti-Obesity 2007, Institut Pasteur) フランス、パリにて。<http://www.isanh.com/anti-obesity/>

2007年6月28日 「製品開発における健康戦略」
Health Strategies in Product Development オランダ、エデにて。 <http://www.nizo.com>

2007年6月27-29日 「アジア自然食品展」
Natural Products Expo Asia 香港コンベンション・イグジビッションセンターにて。<http://www.naturalproductasia.com>

2007年7月20-22日 「NNFA2005、健康展」
NNFA 2005, The Show with a Healthy Perspective 米国ネバダ州ラスベガスにて。
連絡先:National Nutritional Foods Association <http://www.nnfa.org>

2007年7月28-31日 「IFT年次総会及び食品エキスポ」
IFT Annual Meeting and Food Expo 米国シカゴにて 連絡先: info@ift.org

2007年8月26-31日 「第9回植物蛋白の実践短期コース」
9th Annual Practical Short Course on Texturization of Vegetable Protein
米国テキサス州Texas A&M Universityにて。 連絡先: Dr Mian N Riaz at mnriaz@tamu.edu
<http://foodprotein.tamu.edu/extrusion/shortcourses.htm>

2007年9月6-7日 「第2回スナックフーズ加工及び製法短期コース」
2nd Snack Foods Processing and Product Formulation Short Course ベルギー、ゲントにて。
連絡先: snackfoods@scarlet.be <http://www.membraneworld.com/snackfoods2007.htm>

2007年16-19日 「第5回ユーロ油脂・脂質会議ー科学から応用、よりよき世界のための新製品開発へ」
5th Euro Fed Lipid Congress - Oils, Fats and Lipids: From Science to Applications, Innovations for a Better World スウェーデン、ゴッテンブルグにて。
<http://www.eurofedlipid.org/meetings/gothenburg/index.htm>

2007年9月25日 「第2回栄養・健康強調表示に関するワークショップ」
2nd Interactive Workshop, Nutrition & Health Claims ブラッセルにて。
<http://www.healthclaims.eu> e-mail: info@healthclaims.eu.

2007年10月23-24日 「健康食品ヨーロッパ会議」
Healthy Foods European Summit 英国、ロンドンにて。
連絡先: jpedersen@newhope.com <http://www.healthyfoodssummit.com/>

2007年10月30日-11月1日 「食品素材展ヨーロッパ及び自然食品素材展」
Food Ingredients Europe (FIE) and the Natural Ingredients Exhibition and Conference 英国、ロンドンにて。
<http://www.ni-events.com>

2007年11月9-10日
10 me Congr s de Nutrition & Sant., ベルギー、ブラッセルにて。 <http://www.congresnutrition.be>

2007年11月11-13日 「大豆・油糧種子会議2007」
Soya & Oilseed Summit 2007  米国、シカゴにて。
連絡先: customerservice@soyatech.com <http://www.soyasummit.com>

2007年11月16-17日
2e Voedings-en Gezondheidscongres, RAI, オランダ、アムステルダムにて。
<http://www.voedingscongres.nl>

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