新しい大豆工業製品として初めて広く知られたのは、おそらく、1933年にヘンリー・フォードが手がけた大豆プラスチックを原料とする自動車パネルでしょう。第二次世界大戦後は、石油化学製品のほうが安価で入手しやすかったため、大豆は塗料や潤滑油などのごく限られた製品に使われていました。 その後、大豆の工業用途で使用するための新技術が序々に開発され、1991年、全米大豆基金財団(USB)の設立・研究助成によって様々な分野の製品開発が推進されてきました。
エネルギーや化学物質の生産の基本的資源として、大豆など再生可能な代替品はより重要な役割を担うようになりました。大豆を原料とする製品を使用することは、限りある化石燃料の節約につながるだけでなく、人間や環境面の安全をも向上させることができるのです。バイオ・ディーゼルの利用は、空気中の有害物質を90パーセント削減し、未燃炭化水素、一酸化炭素、粒状物質の大幅な削減をもたらします。バイオ・ディーゼルは、石油ディーゼル燃料よりも有毒性が低く、容易に生物分解することができ、こうした環境面での長所が性能を損なうことはありません。実験の結果、バイオ・ディーゼルを石油ディーゼルに2パーセント混入するだけで、潤滑性が65パーセント以上も向上することが示されています。 環境と職場の安全を向上させる製品のもうひとつの例として、大豆ベースのエンジンオイルが挙げられます。このオイルは生物分解が容易でほぼ無害であり、この種の潤滑剤に関する世界でもっとも厳格な基準である国際標準化機構(ISO)の性能要求基準を上回っています。大豆をベースとするエンジンオイルは、有害物質の排出が石油化学物質を原料とするオイルよりも少なく、職場の安全を向上させます。
大豆をベースとする溶剤の主原料となる大豆メチルも、環境や職場の安全を向上させる解決策として注目されています。大豆メチルは、揮発性有機化合物(VOC)が少なく、有害大気汚染物質(HAP)を発生させません。有害廃棄物の発生を減少させ、廃棄、保険、規制報告のコストを軽減します。大豆ベースの溶剤は引火点が非常に高いため、防災上の安全面からも高く評価されています。 また、生物分解が容易で、大部分の一般の溶剤よりも毒性が低くなっています。
米国では大豆の工業用途の研究開発が進み、既に様々な大豆ベース製品が市場にでております。現在のところ、化石燃料の炭化水素を大豆で完全に代替することはまだ技術面、経済面から見て実際的ではありませんが、少しずつ進歩しています。環境や安全面からも素晴らしい性質を持つ大豆工業製品は多くの問題を解決してくれることでしょう。 |