ドーハ・ラウンド凍結で農業法、WTO紛争解決に問題発生
先週パスカル・ラミーWTO事務局長が多国間貿易交渉ドーハ・ラウンドの凍結を決めたことを、多くの関係者は同ラウンドの交渉完結を少なくとも数年先に延ばす、あるいはラウンド自体を物別れのまま全面的に終了させかねない後退と受け止めている。交渉担当者は今週の行き詰まりに至るまでに既に5年近くの時間を費やしているが、一部の観測筋はこれを前回のウルグアイ・ラウンドに比べればまだ3年短いとしている。ドーハ・ラウンドで進展が見られないことを、米議会や農産物団体代表達は2007年の新農業法を制定する際に米国農業プログラムや政策に大幅な改革を盛り込まない理由としている。多数の議員や関係者は、現在の農業法を1、2年またはWTOの農業貿易協定が締結されるまで延長することを、公式に要請している。
一方、現在の米国農業政策の大幅な改革を求める勢力(特に農業委員会の委員を務めていない議員やブッシュ政権関係者)は、新たな世界的貿易協定が締結されなかったことを国内政策改革の抗し難い理由として使う可能性もある。例えば、ブッシュ政権は農業法案審議での役割を拡大し、多国間貿易交渉が再開された場合に米国交渉担当者が有利な立場に立てるよう、米国の農業政策を以前より貿易阻害的でないものにすべく尽力できると考える可能性もある。
マイク・ジョハンズ農務長官は、米政府は来年新たな農業法策定を進める意向であると語った。「認識してもらいたいのは米国農業生産者の60%が農業法の恩恵をほとんど受けていない点である」と述べ、さらに補助金の93%は現状では大豆、コーン、小麦、コメおよび綿の5種類の農作物しか対象としていない」と付言した。「全農業生産者にとり農業政策を見直し、公平で、順当で、かつ文句のつけどころのない農業政策を起案することが重要だと思う」と語った。
ジョハンズ長官はさらにWTOの紛争解決制度の下で米国の農業補助プログラムに対し新たな異議申し立てが予想されると語った。WTOの紛争解決機関に新たな貿易紛争が提起される可能性に関する記者からの質問に答え、ジョハンズ長官は「ドーハ・ラウンドの進展が無ければ他の国が我々の農業プログラムに目をつけることを私は以前より予想していた」と語った。
関連ニュースとしてドーハ・ラウンドの崩壊を受けて、米国農業会連合は2002年農業法を少なくとも1年間延長するよう議会に要請した。同連合のボブ・ストールマン会長は「現在の農業法を最近の貿易規定に合わせて微調整を行った上で延長することにより、論争が起きやすい現在の世界貿易環境の中で米国農業生産者の生き残りを支援できるような政策を推進していく」と語った。
ストールマン会長は、米国の通商相手国が自国の農業生産者への補助を継続している一方で米国の農業プログラムを変更し、国内の補助金を一方的に削減、または撤廃するのはほとんど意味がないと主張した。こうした動きは米国の将来の交渉姿勢を弱めるだろうと同会長は語った。「自発的に行ったことでは交渉のポイントは稼げない」とストールマン会長は語った。
一方、米国では議会が大統領に付与した貿易促進権限を現在の期限である2007年6月30日までに延長しない可能性が引き続き高まっている。貿易関係者は前回この権限の有効期限が切れた際、政府が誠意をもって貿易交渉を行うための条件を議会が復活させるのに数年に亘るロビー活動が必要だったことを指摘している。こうした関係者はさらに前回この貿易促進権限が再延長されたクリントン政権時代に比べ、今は議会がより保護貿易的になっているあるいは貿易政策に嫌気していることを指摘している。
重要な運輸プロジェクト法案の次の段階は上・下院協議
上院は先週、陸軍工兵隊による100以上の航行および治水プロジェクトに120億ドル強の支出を認める下院のHR2864(水源開発法=WRDA)に対応する法案を承認した。下院では2005年7月に同法を可決している。上・下院は両法案の相違を調整するための協議を行う予定である。WRDAは通常2年毎に再承認されるが最後に承認されたのは2000年だった。今回の法案再承認の重要点は大豆産業にとり大きな意義を持つ主要な水門やダムのインフラ拡大と更新の必要性につき両院が合意している点である。
とりわけ重要なのはミシシッピー上流とイリノイ川の水門とダム7箇所の近代化プロジェクトが認められたことであった。上・下院間の相違点は専門家評価と具体的なプロジェクトに関するものと思われる。次の展開としては8月に両院のスタッフ間の協議に続き、おそらく9月初旬には上・下院協議委員会の正式ミーテイングが行われることになろう。
フィリピンが衣料輸入増是認の見返りに大豆市場を米国に開放の可能性あり
フィリピンが米国と他の東南アジア諸国間で締結されている多数の自由貿易協定と競合できるように同国からの衣料輸出に対し優遇措置を取り付ける見返りの一つとして、非常に保護障壁の高い自国の農産物市場を米国の輸出者に開放する可能性が出てきた。開放の対象となるのは大豆、小麦およびコメで、フィリピンはこれを米国衣料品分野へのアクセス拡大のテコとして利用したい考えであると、米国市場へのアクセス拡張を求めて活発なロビー活動を続けてきたフィリピン衣料輸出業者連盟の役員であるジョージ・シイ氏は語った。両国政府は「(こうした取り決めに関する)協議に向けた努力を開始しており、他にも開放可能な分野を検討する必要がある」とシイ氏は語り、フィリピンがまず自国で生産されていない大豆ミールと小麦の米国からの輸入を認可するのも一法であろうと付言した。
中国の記録的大豆輸入は調理用油需要を満たすため
中国は国内の調理用油需要を満たすために大豆輸入を拡大し続けている。世界貿易情報サービス(GIIS)の統計によれば中国の昨年の大豆輸入は前年比31%増の2660万トンに達し、今年に入ってからの5ケ月間の輸入量はさらに11%増の1040万トンに上っている。また中国農業局のFanXiaojian副大臣によれば中国の調理用油消費は現在世界全体の16.4%を占め、過去5年間に年率10%で増加している。
大豆コンプレックスは中西部への雨で作付け懸念が緩和され安値引け
大豆コンプレックスは7月27日中西部に相当量の降雨があり作付け懸念が和らいだことで安く引けた。西コーン・ベルトの一部では若干の収量減があったものの全体的には作物は収量決定にもっとも重要な8月に向かう現段階でかなり良い状態にある。8月豆先物は$2.85下げて$210.91;9月物は$3.31下げて$213.39;11月物は$2.85下げて$218.62で終了した。8月ミールは$4.08下げて$182.10;9月物は$2.43下げて$183.97; 10月物も$3.75下げて$185.30で引けた。8月油は$4.63下げて$570.33;9月物は$4.41下げて$575.18;10月物は$3.75下げて$580.25で終了した。
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