遺伝子組替え農産物について-ヨーロッパでの体験
デイビッド・グリーン
グリーンハウス・コミュニケーションズ社 社長
今年の2月から4月の間に英国の食品業界で発生したGMO製品に対してのヒステリックな状況については、実際その場にいなかったならば、とても理解することはできないと思います。その時の主要な大衆全国紙の一面の見出しをここに拾って見ましょう。
英国の或る大手スーパーマーケットでは、各マネージャーに対し、その顧客が同じテーマについて週15回以上のヘルプライン電話を受けた場合には、注意するように求めました。GMOの脅威がピークに達したときには、1,300回に及ぶ電話が鳴り、その数はかってのBSE事件即ち狂牛病の脅威が広がったピーク時を50%も越えるものになりました。
本来、GMOに対する脅威は、BSE事件以来なによりも健康を害するおそれを感じるあまり、穀物を保護する技術に対しての認識不足から発生したものでした。しかし、これは病気ではありませんし、また、これで誰かが死亡したり、環境に害を与えたわけでもありません。それでは何故、安全性と適正に法定されている製品に対して、議論が行はれるのでしょうか?
私は、日本においてもあなた方が、食品のバイオテクノロジーについての不安の第一段階に差し掛かり始めていると感じています。
バイオテクノロジーにより殺虫剤の使用量が減少したことなどで環境面で重要な恩恵があるのは事実ですが、私の役割は、バイオテクノロジーを促進するとか、擁護することではありません。むしろ、私は、私の本日の話の大部分を、英国およびそれ以外のヨーロッパで実際何が起きたのか、そして、もちろん日本も含めたそれ以外の地区において起きつつある同様の危機を防ぐ為に、それから何を学ぶべきかについて言及してみたいと思います。さらに、EUにおいて、GMOに求められる法制ならびに必要な手続に触れ、法制面と消費者対策の両面からこれまで発生したことから何らかの教訓を引き出してみたいと思います。
英国での反応は、ヨーロッパの基準で考えて見ても、過激すぎました。英国人がGMOの存在を知る何ヶ月か前に、ドイツではその問題の脅威を注意深く調べていました。英国の場合と異なり、ドイツの場合は、科学を尊重し捻じ曲げられていない純理論的な分析をもってその混乱から逃れました。英国とそれ以外の国で起きている問題は、科学、真実が、消費者の懸念の中で、踏みつけられてしまうと言う事を表しています。
ヨーロッパでのGMOに対する消費者の激しい反対は、新しい食品に対する恐怖現象ではありません。1980年代の初頭、イタリアでの仔牛生産に成長ホルモンが不正使用されたため、それを食用とした少年の胸が大きくなってきて、成長ホルモンが健康を害すると大衆の抗議を受けたことがありました。この時は、肉牛の生産、特に法律的に認められた安全な肉牛成長促進剤の使用に注目が集まりました。
やがて、EUでは、これらの製品の使用を禁止しましたが、この行為が現在も米国との間の貿易戦争になって続いています。
米国と違ってヨーロッパには、科学的、法制的管理が悲惨な結果を防げなかった歴史があります。BSE即ち狂牛病の恐怖や、1990年代初期の卵のサルモネラ菌騒ぎ、もっと最近では、家禽のダイオキシン汚染などが、多くのヨーロッパの人々が科学や食物の生産方法、政府による管理に対しての不信感を広げてしまっているのです。ヨーロッパの消費者が"食品業界や科学者、政府はわれわれの食べ物をどうしようとしているのか?"という、懐疑的な質問をするのも無理のないことです。
新しくEUの保険および消費者関連事項担当長官となったデービッド・バイルン氏が、食物の安全と消費者の信頼を回復することを、彼の施策の第一に挙げている事は、興味深いことと言えましょう。
しかし、英国とヨーロッパ全体の食物連鎖のうえで、最も基本的で大きな影響を与えたのがBSE事件でした。1980年代終わりに狂牛病最初の証拠が出たにも拘わらず、後任の農業担当大臣や、当局者、科学者が英国の消費者に牛肉は安全であり病気は人には移らない旨を保証しました。そして、その再保証について疑問を唱えた人達は世間を騒がせる人という烙印を押されました。しかし1996年になると、英国の保険相が、議会で12人の死亡がBSEと関連したものである旨を公表しました。政府と関係当局に対する信頼は、一夜にして崩れ去りました。
この発表からちょうど6ヶ月後に、GMO大豆が米国からヨーロッパの港に到着しました。この大豆は、除草剤グリフォセートに耐性を持たせたもので、12年間にわたる徹底的で完璧な研究によって、米国、日本、ヨーロッパの関係当局によって安全と認められていたものです。
大豆はヨーロッパでは大量には栽培されていないので、バイオテクノロジーで処理された大豆については分かりません。ましてやそれらがスーパーマーケットの棚に並ぶとは全く知りませんでした。そのため、大豆が到着し、加工食品の中にそれらが含まれている事が判明し始めると、消費者団体は、安全性、遺伝子工学、除草剤の使用、この遺伝子工学なるものの消費者にもたらす恩恵は何かなどの質問が出始めました。残念ながら、これらの質問に答えられる信用できる第三者はいませんでした。情報が飛び交い、グリーンピースやフレンズ・オブ・アース等の環境・消費者保護団体によって、その噂と誤伝は瞬く間に広がりました。
これらの活動家達は、この問題で注目を集め、その結果新しいメンバーを引き付ける手段にしています。しかし大部分は、食品産業と食品技術に対する大衆の政治的潮流を、政治的な姿勢が根本的に変化している事を日のもとに曝そうとしています。事実、ヨーロッパと米国のGMOに反対する人の最終ゴールは、過去50年間のすべての技術進歩を転換し、1949年代の農作方法および生産性に基づき、すべての有機農産物を作ることにあります。
彼等は、政府の再保証に対する消費者の不信感とバイオテクノロジー業界の混乱を非常にうまく利用して、GMO論争を事実上リードすることができました。しかし、彼等の成功は、英国の大衆紙という媒体が熱心に報じなければ、成功しなかったでしょう。激烈で冷酷な競争のために、いくつかの大衆的で影響力のある新聞が、食品の恐怖をトップ全段抜きの見出しとして取り上げ、売り上げを伸ばしています。
また、政治的な局面もありました。2月に、英国のブレア首相が、GMOの安全性と恩恵に対して個人的な保証を行いました。親農業団体の立場にあるサッチャー夫人の率いる保守党は、1990年代初頭には喜んでGMO大豆を認めていましたが、今や相手方を政治的に攻撃する絶好の機会だと見ていました。そして、事実攻撃を行いました。一旦政党間の問題となったので、"懸念すべき事項"としてまともな話題として取り上げられることになり、各新聞もこれを記事にしました。
媒体の強力なスポットライトを浴び、遺伝子組替え技術についての疑わしい科学的研究についてのセンセーショナルなレポートによって、英国の食品製造業者と小売業者は、遺伝子組替え製品の使用について、特に耐グリフォセート(除草剤)大豆と、'トウモロコシ食い虫'に耐性を持つトウモロコシに関し疑問を持ち始めました。
その間にヨーロッパでは何が起きたのでしょうか? これは重要なことです。欧州連合の一員として、英国の食品・農業関連法は、ブリュッセルで決められるように成ってきているからです。
ヨーロッパの食品業界が直面している問題は、ヨーロッパの行政組織が技術進歩と歩調を合わせられないことにありました。
欧州連合のメンバー15カ国でのGMO製品販売の法的認可は、指示書90/222(遺伝子組替え有機体の環境への慎重な放出)に基づいていますが、これは環境および安全面を審査するものです。一旦認可されますと、全欧州連合を構成する各国に門戸が開かれます。これは重要な点です。
統一欧州条例により、認可された製品に対しては何処の国でも売れることと規定しています。EU各国とも、独自に決めることはできませんし、安全と環境面で問題があるとの積極的な科学的な証拠を欧州委員会へ提出しなければ、適正に認められた製品の取り扱いを禁止することはできません。先月、欧州委員会は、1997年にオーストリアとルクセンブルグが、GMOトウモロコシを輸入禁止措置にしたことは、両国政府によって提出された科学的証拠は根拠がないものとされ、実施できないことになりました。現在、この両国が法的義務を履行することを保証をさせる手続きが進められています。
指示書90/220に基づくGMO製品の認可を得るための申請には、科学的所見による証拠とともに、完全な書式で提出しなければなりません。この手続きには時間がかかり、販売計画が申請された品種の穀物に対して、平均してほぼ3年程度が掛かります。これには、15カ国の科学専門員による徹底的な精査が含まれています。
指令書90/220に基づき、ラウンドアップ・レディ大豆は1996年4月に、Bt.トウモロコシは1997年1月に認可されました。
1997年5月15日、EUでは、GMOの表示を義務づけたNovel Foods Regulationを発効させました。煎じ詰めると、証明し得るGMOのDNA、蛋白質を含有する食品は、GMO含有という表示をすることになっています。しかし、既に認められた大豆やトウモロコシには、この規制外に有ります。この両製品は、事前の市場での同意を得ており、その認可以来かなりの量が使用されています。これは明かに例外事項でありますが、欧州議会は、これら製品をNovel Foods Regulation の規制内に置こうとしました。
GMOが大衆の関心事になってきたことに伴い、1997年7月のEC委員会は、表示のガイドラインを提出しました。そのガイドラインは3部から成っていました。即ち、(1)遺伝子組替え有機体を含まないもの (2)遺伝子組替え有機体を含むもの (3)遺伝子組替え有機体を含むかも知れないものの3部です。しかし、明確な定義や文言について同意をえられず、ガイドラインは即座に批判を受けました。とくに業界では、GMOを'含む'と言う表示をした製品は、消費者が否定的に見て、実際上警告表示をしたものと見なすのではないかとの懸念がありました。GMOを'含まない'と表示された食品は、他の製品には多分何か悪いものがあるのではないかとし、'含むかも知れない'という表示は無意味なものであり、食品加工業者が自分たちの製品の中に何が入っているのか分からないという表現は、良くないと言う事に成りました。
さらにこの時期に、別の問題が発生しました。すなわち、これまでEUの市場では認められていないけれど、EU以外では認可されているGMO製品の輸入の問題です。例えば、GMO穀物の種類は、どちらかと言うとわずらわしく益々政治問題化しているヨーロッパよりも、時の流れ沿った米国の認可制度で動いて来ています。 指令書90/220による認可がなければ、いかなる輸入も非合法となります。この問題で事は益々難しくなります。今年の6月に、反GMOの考えが高まる中で、EU諸国の環境大臣の集まりで、12カ国が賛成の上、指令書90/220の認可システムは、その見直しのため執行を一時停止するという結論に達しました。この見直し作業はこれまで2年間続いていますが、早くいっても来年の中頃以降になりましょう。その間、新しい認可については実質上停止されます。
この決定もしくは不決定は、ヨーロッパと米国の間の重大な貿易上の分岐点です。米国では販売が認可されたけれどヨーロッパではまだ、というようないかなる新製品も、90/220による販売許可が得られるまで、EUへの輸入ができません。このために、何種類かのGMOトウモロコシをEUが禁止している結果、米国の生産者にとっては2億j以上の売り上げの落ち込みと成っています。1997年には、同様な理由でカナダからのなたね菜種の輸入をすべて禁止しました。はっきりしているのは、この問題が貿易の主要テーマになる前に、決着を図ることが焦眉の急だと言う事です。
明かに不適切と言えるヨーロッパのシステムは、英国、オランダ、デンマーク、フランスのような欧州諸国で沢山の小売業者を失望させています。自分達の食べる食品の中に何が入っているのかを知る権利を行使している消費者からの圧力で、これらの国々での或る小売業者のグループは、独自の表示計画を導入しました。
しかし、食品表示の主体は、時が移行してもぐらつかない科学的なものでなければなリません。定められた基準に沿っていなければ、誤解のもととなりましょう。特に競争に勝つためにやった場合がそうです。例えば、或るラベルに&uqot;遺伝子組替え原料が入っていないことを十分に確かめた&uqot;と表示されていても、このような表示は実質的に何の意味もないわけです。
政治家や食品産業から, 大豆やトウモロコシを Novel Foods Regulationの表示計画下に置くべきであるとの圧力があるにも拘わらず、これら二種類の農産物を規制する Regulation 1139は、やっと1998年9月1日になって初めて制定されました。
しかし、この規制は枠を示していません。最低の基準を示していないのです。煎じ詰めると、これでは、間違いは許さず、GMOが全く入っていない製品を表示し、ごく少量でもGMO製品が混入していたら表示しなければならないのです。例えば、今年の初めに、米国から出荷した有機トルティーヤ・チップに、微量のGMOを含んでいることが判明しました。包装にはGMOラベルの添付は有りませんでした。その結果、米国の生産者はその製品を送り返す為に、25万j掛かりました。市場を失った事はもちろんです。
全く含有量に許容範囲のない表示制度の不適正さを認識したため、欧州委員会がRegulation 1139での許容範囲の制定をすることになりました。このことは認可手続きをさらに遅らせることとなりました。今年の3月には、この許容範囲の考え方は、全欧州委員会の辞任によって頓挫しました。10月21日になって初めて、食品関係の常任理事会が、限度を1%に設定することを承諾する意見を表明しました。この意見は、現在欧州議会で検討されていますが、早くとも来年の4月までには法制化されることにはならないでしょう。
しかし、既に新たな問題が出て来ています。英国を含む何カ国かのEUメンバーは、1%というレベルは高すぎるので、もっと低くすべきだと述べています。流通業界では、高すぎるのでこのような許容範囲の設定ではnon-GMO製品を大量に運搬するのは、実際上不可能であると言っています。既にこの問題は、ヨーロッパにおいて市場の現状を政治的および消費者からの要求とを一致させられないと言う問題になっています。これに加えて、EUは、DNAや蛋白質を検出する為の特別なGMOテスト方法を決定しなければなりません。
これらの立法面および技術面の混乱が、英国のような気まぐれな雰囲気に加わった訳ですが、これらの要素が市場の混乱をうまく料理ししようとしているあなたに与えられたレシピで、これが現実に起こっていることです。
英国の食品小売業界が、比較的少数の大型小売業者のグループに集約されていることはご承知のことと思います。実際のところ、約10のグループが全食品市場のほぼ85%を支配しており、上位3グループが市場の50%以上を押さえています。これは、小売業者が大変な購買力を持っていることになります。しかし、これにより激烈で冷酷な競争を生むことになります。さらに、BSE危機以来の政府に対する信頼の欠如の中で、消費者の代わりに小売業者が当局への事実上の声となっています。
これまでの18ヶ月にわたるメディアの反GMO報道の増加は、多数の小売業者に、GMO製品を棚から除くとか、non-GMOの供給源を探すかを迫ることになりました。たとえ、小売業者自身はGMO製品は安全であると認めても、小売業者はnon-GMO製品が良いとする消費者の声を尊重するのです。
多くの英国の小売業者と若干のフランス、イタリア、ベルギー、スイスの小売業者、ならびに主要な食品製造業者は、自社ブランド食品の大豆とトウモロコシの使用を控えることを検討しています。或る小売業者は、新しくGMO表示包装にするよりも、成分をかえる方が安上がりだとしています。多くの英国の小売業者は、GMO製品は置いていないと宣伝しています。この宣伝は、小売業者のマージンの高い、自社ブランド製品の売り上げを伸ばすための販売戦略以外の何物でもないと皮肉に見ている人もいます。
これらには何れも或る皮肉が込められています。1年以上にわたり、英国の最大のスーパーマーケット二店で販売されていたトマト・ペーストの40%がGMOでした。缶の前面にはそのことが明記されており、価格も安かったので、多くの人がその隣で売られていたnon-GMO製品よりもましだと判断していました。GMOの騒ぎで売り上げはがた落ちになりましたが、もしもこの事件が発生しなければ、疑いもなく今日でも売り上げを伸ばし続けていたことでしょう。
しかし、'GMOなし'とか'non-GMO'と言うのは何を意味するのでしょうか? 現行の不適切な Regulation 1139 のもとでは、たとえ微小の遺伝子組替えDNAや蛋白質の痕跡を含んでいれば、ラベルに記載しなければならないことは明白です。前にも申したように、許容範囲なしに、その製品がGMOを含んでいるのか、またはそうでないのか、どのように判定するのでしょうか。自分達の製品はnon-GMO大豆を使用している事を明記していたり、小売や製造業者で真摯にnon-GMOを表示したり、GMOを取り除いたりしても、活動家や狂信的記者にテストされ、GMOが検出され、その上大きく報道されて売り上げを大きく落とした例があります。例えば、或る大手小売業者は、たまたまGMOの痕跡があったにも拘わらず、GMO混入の表示をしていなかった為に、ピザ製品の売上で40万jの減少となりました。
ヨーロッパの食品業界には、若干の救いもあります。欧州委員会が提案した1%の許容範囲が明確な手順となっているからです。しかし、英国を含むいくつかの国では、既に許容範囲は1%以下にすべきであると言う議論がなされています。米国の大豆生産者などの供給業者は、範囲はもう十分に低い。たまたま混入した場合でも、non-GMOとして善意で販売したものに、たまたまGMO製品が1%以上混入しているのが判明した場合には、供給業者が責任を持たなければならない規則は考えが足りないと主張しています。
特に大豆の場合、誰がnon-GMOを供給できるのかについても、議論を呼んでいます。米国は、世界最大の大豆の供給者であり、本年度の収穫のうち55%について遺伝子組替えが行われています。他の主要供給国であるアルゼンチンでも、大豆の収穫分の60%に遺伝子組み替えがなされています。
Non-GMOとGMO穀物を分別することは、汎用商品として、栽培、収穫、販売されている米国の大豆の場合、決して簡単なことではありません。低い取り扱い費用が大豆の価値なのです。米国大豆協会は、欧州の物流業者に対して、大量輸送のシステムを説明し、日本のバイヤーが長年にわたり行ってきたように、IPシステムがnon-GMOを買いたい人達の選択肢であると説明しています。
しかし、ヨーロッパのバイヤーは、IPシステムに伴う少量でコストの高い方法を嫌っています。長年にわたりIPシステムを見事にこなしてきた日本と違い、ヨーロッパでは、分別保持(IP)の仕組みについて経験がありません。小売業者・製造業者とも、non-GMOの供給に対してプレミアムを支払う必要を認めません。その代わり、耐グリフォセートやラウンドアップ・レディ大豆の販売許可を出していないブラジルを、non-GMOの供給源として考えています。混ざりものがなく、プレミアムもなく供給されるnon-GMO大豆が、ブラジル当局によって保証されていることで、ヨーロッパの顧客がブラジルに代替を求めています。しかし、ブラジルには、アルゼンチンから密輸入された遺伝子組替え大豆を取り扱う闇市が栄えており、また、政府の概算によれば、今年ブラジルには、100万トン以上のGMO大豆が育っていると言われています。ブラジルの或る地区からの大豆にはGMOがないといわれていますが、ヨーロッパの小売業者や飼料業者によれば、最近のブラジルからの製品をテストして、GMO成分を確認しているそうです。
GMO全体の最近の動きに、GMO動物飼料問題があります。目下のところ、ヨーロッパでは、ブライン理事がしきりに Novel Feed Regulation の提案を検討していますが、この分野を取り扱っている法令はありません。さらに、活動家のグループは、飼料にGMO製品が混入することについての消費者の懸念を呼び起こそうとしています。英国の小売業者は、家畜の肉や乳製品にはnon-GMOを使用していることを、公式に表明しています。
しかし、私はこのような主張は、その複雑さを十分理解し、またnon-GMO大豆やトウモロコシの大量供給に関するコスト計算をして供給源を考えない限り、時期尚早だと確信しています。活動家の脅威に対しての反応や、プレミアムなしで混入限度を0にするという間違った約束が、せっかちな結果を生んできました。これまで、いくつかの大手小売業者は、加工食品業者が使用するごく少ない数量に比べ、飼料で必要とするnon-GMO大豆の供給を確保することが、いかに困難なことかということが今分かったと、私に話してくれました。
例えば、英国では、加工食品に年間約10万トンの大豆を使用しているのに対して、飼料にはほぼ200万トンを使用しています。米国とアルゼンチンに加えて、ブラジルの状況を勘案しても、GMO生産量の実態から見ると、今日言われているGMOなしの肉についての宣伝・販売は再考せざるを得ません。ある英国の大手小売業者は、non-GMO飼料で育てた家畜の食肉を、限られた店の自然飼育牛肉の棚で、20%のプレミアムをつけて販売しています。この程度のことがせいぜい消費者の選択に委ねた現実的な販売方法と思われます。
ヨーロッパの状況から学べる教訓は何でしょうか?
特に、販売にせよ、許認可にせよ、それが大論争を巻き起こしている際に、方針を決めようとすることが大変困難なことであるのは明白です。早期解決が求められます。残念ながら、早期解決の必要性は、実際問題として何を適正に決めるかの際には、しばしば障害になります。
例えば、適正な許容範囲が決められないで、表示制度を持ち込むことは、混乱を招き、あてになりません。議論を巻き起こしているのは、この不確かさであって、技術に対する敵視ではありません。しかし、許容範囲については、実行できる現実的なものでなければなりませんし、そうすれば、それが濫用されることはありません。1%という限度は、non-GMO製品を供給したいと望んでいる人達には、難しいかもしれません。しかし、そのことは、それを表示する供給者に対して責任を明確に持たせることになりますし、消費者を安心させる一つのステップとなります。
また、農民から最終消費者に至る食物連鎖の中にいる人々に、汎用商品である穀物の生産から流通までのすべての仕組みを理解させる必要があります。
前段で、私は、IPシステムに対するヨーロッパの経験のなさを、日本と比較して述べました。日本のバイヤーが、non-GMOプレミアムをつけて購入している事は、興味ある事です。あなた方は、そうはしたくなかったのかも知れませんが、これは市場の現実を熟知している結果です。混入限度が低くなれば、それだけ価格は高くなります。しかし、多くのヨーロッパの人達は、いかなるプレミアムも払わない、米国の農家は100%GMOなしの穀物を供給すべきであると、まだ議論しています。
良く言って、このことは汎用商品の生産と流通費用についての素朴さを表すものであり、またnon-GMO穀物が十分にあると言うことでしょう。悪く言うと、世界で最大の農業地区を耕作し、バイオテクノロジーによる大豆で年間の全生産量のほぼ55%を生産できる技術を持っている大豆生産者は、彼らの効率的な生産方式を、弱小な間違った情報を持った少数者を侵害するので、その効率的な生産方式は転換すべきだという傲慢さと言うのかもしれません。
これまでの18ヶ月を通じて、ヨーロッパを広範囲にわたって旅行し、特に多くの農業団体と会いました。欧州の農家の中には、技術へのアクセスがないため、他の国に比べて不利だという大きな懸念が、ここ6ヶ月に次第に大きくなってきていました。彼等は、農業経済学の恩恵、チャンス、米国において農業者が生産コストの節減していることを理解しています。また、薬品の使用が減っていることも、米国農場の野生生物が増加していることを通じて、環境が大きく改善していることも知っています。
バイオテクノロジー食品を受け入れている国々と、それを受け入れない国々の間で広がってきている大きな亀裂は、現在そのような穀物を育て、それによって環境面と経済面でのプラスを得ている国々と、その結果を輸入するように要望している国々を分けているのと同じものだということは注目に値します。米国、カナダ、中国で消費者の反対が少ないのは、それらの国々は、GMO穀物の栽培でのパイオニアであり、これに対し大規模なGMO穀物が栽培されていないヨーロッパでのは消費者の反対が強いのは偶然ではありません。
最後に、消費者の信認を得なければならないとの認識することは、食料連鎖に関与している人すべての責任です。食物生産や新技術に関連した規制を完全に透明化し、明確にすることが基本です。今日の消費者は、これまでより以上に、自分たちの食料がどのように生産されるかに関心を持っています。新技術や手順について、消費者を啓蒙することも必要です。信頼できる人が事の是非を知らせることも大切です。新製品の出だしで、選択の余地を与えることも大切です。 (これは、消費者を味方に引き入れる上で大切です。Zenekaのトマト・ペーストの件を思い出して下さい。)
これらは、いづれも長期にわたる努力が必要です。ヨーロッパでの経験からすると、生きた情報と内容の理解が足りないと、噂と中傷がたちまち蔓延します。悪い誤解を招く主張は、理性的判断を狂わせます。健全な科学は、軽薄な脅しによって踏みつけられます。これは、われわれ誰もがしてはならないことです。
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